ミトラ|世界各地で信仰されたインド神話の最高神

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古代インドだけではなく、イランでも信仰されていたミトラ神。

サンスクリット語で【計量する者】を意味しています。

そこから派生して“契約・光・盟約・正義”の神とされています。

これだけで真面目な神といったイメージが沸きますが、果たして本当のところはどうだったのでしょう?

ミトラ|世界各地で信仰されたインド神話の最高神

神とされていますが、アスラ族の一人です。

【ミスラ】と表記されることがありますが、古代イランで信仰されたゾロアスター教の聖典アヴェスタの中に登場します。

ゾロアスター教におけるヤザタと呼ばれる中級神霊の一人でもあります。

時代が下って登場したパフラヴィー語では【ミフル】という名前で呼ばれるようになりました。

地中海世界では【ミトラス】というギリシャ語で信仰されるようになりました。

この信仰はバラモン教やゾロアスター教と異なっていて、“ミトラス教”または“ミトラ教”と呼ばれています。

また仏教で弥勒菩薩は別名【マイトレーヤ】【メッティヤ】と呼ばれますが、ミトラが持つ意味【友】を意味しているそうです。

このことから“ミトラ信仰が弥勒菩薩信仰に影響を与えた”と言われることもあるそうです。

仏教がインド神話に飲み込まれた証拠の一つと考える人もいるようです。

紀元前14世紀のメソポタミア北部にあったとされるミタンニ王国、その北にあった鉄の王国と言われるヒッタイト国の条約文中には法の神ヴァルナ、雷神インドラ、医術の神アシュヴィン双神、火の神アグニと並んでミトラ神について言及されています。

これは停戦協定でしたから、契約の神であるミトラ神の名前が出て来るのは当然のことだったのでしょう。

インド神話での位置

前述のように【契約】の神ミトラは、契約を結んだ者達の守護神でもありました。

また【友情や和合】、天の規則も職掌としていたのでヴァルナ、アリヤマンと並んで掟を破った者に罰を与える神でもありました。

以前にも紹介しましたが、ミトラはヴァルナと並んでインド神話の最高神とされています。

「あれ、インド神話の最高神ってヴィシュヌやブラフマー、シヴァじゃなかったの?」と不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。

インド神話は成立した時期やその時期隆盛だった宗教によって最高神とされる神々が異なるのです。

ミトラやヴァルナはゾロアスター教の影響が強い時代に最高神とされた神です。

ミトラはヴァルナと共にヴィシュヌ達と対立する【アスラ】と呼ばれました。

古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』ではヴァルナとミトラは【神々の中のアスラ】と称されていて、最も優れたアスラの力を持つと言われています。

もともとアスラは神に匹敵する力を持っていますから、この2神のパワーの凄さが想像できると思います。

また、ミトラは太陽神でもあるとされ、太陽神スーリヤと同様【アーディティヤ=女神アディティの子】である【アーディティヤ神群】の一人に数えられています。

このアーディティヤ神群の中には、ゾロアスター教において悪魔ダエーワ(地獄で亡者を苦しめると言われています。閻魔大王でしょうか)と同一視される雷帝インドラも含まれているのです。

もともと共通点の多かったインド・イラン系宗教ですが、東西に分裂する以前にはどのように信仰されていたかが推測されます。

エンタメ世界のミトラ

『女神転生 シリーズ』

『真女神転生Ⅲ』にはシジマ(=静寂)の幹部悪魔【魔神ミトラ】として登場します。

その他にはソウルハッカーズやSJ(ストレンジ・ジャーニー)では別名の魔王ミトラス、堕天使ミスラの名前で登場します。

『天空戦記 シュラト』小説

テレビはもちろんOVAでも大ヒットしたアニメです。

ただし、ミトラ自身はアニメには登場しません。

小説版のみに登場するキャラですが、軍師として影から主人公シュラト達を支援するいい役です。

『帝星年記マイトレーヤ』椎隆子

 

世界を崩壊から救うマリア(聖母)を守る東方三博士こと3人の青年達というファンタジー系の漫画です。

連載されたのが1996年というノストラダムス予言の年に近い時代ですから、そういう漫画も多かった記憶があります。

作者の椎隆子は知名度は低いかと思いますが、『エキゾチック・Tiger』という(自由奔放で女性顔で当然女装もする大財閥の御曹司と彼に仕える年上の部下、従弟であり居候のフツーの青年を中心にしたBL風)長編漫画で1980年代にはとても人気のあった漫画家です。

ミトラ【ミトラス】 まとめ

ミトラというと、筆者はギリシャ神話の方を連想してしまうのですが、インド神話にも存在していました。

時には人間を苦しめ、神々とも対立するアスラでありながら、契約という人と人の信頼に根ざしたものを司る神であるというのが二面性と言うべきか、インド神話の奥深さを考えさせられる存在だと思います。

  • 2020 03.30
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