ラーヴァナ|あらゆる種族に負けない魔族ラークシャサの王

インド神話でも知名度の高いラーマはスター性もあって人気抜群ですが、彼の宿敵と言うべき魔族がラーヴァナです。

ラーマの妻シーターを掠ったことで、悪名が高くなってしまったきらいがありますが、さて本当のラーヴァナは一体どんな存在だったのでしょうか?

ラーヴァナ|あらゆる種族に負けない魔族ラークシャサの王

ラーヴァナは、ラークシャサと呼ばれる魔族の王です。

誕生については、創造神ブラフマーの足から生まれたという説もあり、またブラフマーを守護する役目を負って生まれたという説もあるそうです。

魔族でありながら創造神から生まれたというのも不思議ですね。

別の説では、父親はブラフマーの血を引くプラスティヤで、ラーヴァナには弟として巨人クムバカルナ、妹に魔女シュールパナカーらがいると言われています。

ラーヴァナには頭を10、腕を20、銅色の目をして、月のように輝く歯(これは綺麗ですよね)を持っていたと言われ、山のように巨大な姿だったということです。

ラークシャサの中には人を喰らう(特に生まれたばかりの赤子を喰らう)者もいると言われ、恐れられる邪悪な一族とされています。

仏教に取り入れられると羅刹と呼ばれるようになりました。

ブラフマーの子と言われるからでしょうか【神よりも強い力を得た暴虐の魔王】とも呼ばれます。

ラーヴァナの別名

【風神の子】を意味するマルトプトラ、【ランカーを燃やした者】を意味するランカーダーヒンなどの別名を持っています。

マルトプトラについては関係性がよくわかりません。

ランカーダーヒンについてはラーヴァナの本拠地がランカー島で、ラーマとの戦いで破壊されたわけですから、あながち離れた意味ではないと思われます。

ジャターユ(邪魔する者)

維持神ヴィシュヌの聖なる鳥ガルーダの子と言われるジャターユという名前の禿鷹がいます。

この鳥はラーヴァナがラーマの妻シーターを誘拐しようとするのを妨害したそうです。

ラークシャサ族 最強の魔王

ラーヴァナには兄弟がいました。

怪物や魔物なども多く、半年に1度しか目覚めないと言われる巨人クムバカルナなどもその一人とされています。

中でも有名なのは異父兄弟にあたるクヴェーラです。

クヴェーラは富の神と言われ、仏教に取り入られると七福神の一人毘沙門天と同一視されました。

また四天王の一人で北方の守護神多聞天とも同一神とされています。

クヴェーラは豊かな島ランカー島を治めていました。

異父兄弟の豊かな生活を切望したのでしょうか、ラーヴァナは対抗心を起こし、何とか自分もクヴェーラのような身分になりたいと頭をひねりました。

その結果考えついたのが【苦行】だったのです。

ラーヴァナの苦行

苦行して神に祈れば願いが叶うと思われていたので、ラーヴァナは早速苦行を始めました。

それは片足で1000年経ち続けるというとんでもないものだったのです。

しかも、その1000年が過ぎたら、自分の頭を切り落として火にくべて燃やしたと言います。

頭を切り落として、命があるのかどうかは謎ですが、魔族ですから命はあったのでしょう。

何ともすさまじい苦行ですが、ラーヴァナの行動を見たブラフマーは「我が子(孫?)がこれほどのことをしているとは!」と驚き、彼の希望を叶えてあげることにしたのです。

ラーヴァナの願いとは“あらゆる種族に負けない”という他の者にとってはきわめて危険な願いでした。

仮にも神なのだから、魔族にこの力を与える危険性は重々わかっていたと思うのですが、ブラフマーはラーヴァナの望みを聞き入れたのです。

そしてラーヴァナは神にも負けることのない強力パワーを持つ魔王になってしまったのでした。

世界一の力を手にしたラーヴァナは自分の欲望のままに振り舞い始めました。

目の上のたんこぶだった異父兄弟クヴェーラの乗り物であるプシュパカを奪ったのです。

それに留まらず、好き勝手に暴虐を働くようになり、遂にクヴェーラランカー島から追い出してしまい、自分が王となってしまいました。

妹思いのラーヴァナの怒り ラーマとの戦い

ラーヴァナには妹シュールパナカーがいました。

彼女はヴィシュヌの化身である人間のラーマに惚れ込み、積極的にアタックしました。

しかし、ラーマには美しい妻シーターがいたので、あっさりと断られました。

そしてラーマの代わりに弟ラクシュマナを薦められたのですが、ラクシュマナから「兄はシーターよりも美しいおまえを選ぶんじゃないか」と適当なアドバイスを受け、信じ込んだシュールパナカーは「シーターさえいなければ」と彼女を襲ったのです。

シュールパナカーの襲撃は失敗し、シーターは無事でしたが、義姉シーターの被害に怒ったラクシュマナは魔族の女の鼻と耳を切り落としました。

妹シュールパナカーの訴えに怒ったラーヴァナはラーマに復讐するため、彼の大切な者=シーターを誘拐します。

妻を奪われたラーマはラクシュマナやハヌマーン達と共にランカー島に攻めこみ、ここにラーマとの戦いが切って落とされたのでした。

ラーヴァナの息子であるインドラジットの活躍などでラクシュマナが瀕死の重傷を負うなど、緒戦はラーヴァナ側が優勢でしたが、次第に押されるようになり、人質のシーターも奪還されてしまい、羅刹軍はラーマ軍に敗北しました。

ブラフマーによりラーヴァナは“あらゆる種族に負けない”とされていましたが、その相手は神々や羅刹などでした。

たいていの種族が対象でしたが、彼は人間と人間に近い猿を見下していたようで(勝てると思っていたのでしょう)負けない対象から外れていたのです。

ということは、維持神ヴィシュヌの化身ではありますが、ラーマは人間ですからラーマには負ける運命だったということでしょう。

未来がわからなかったために、油断したラーヴァナが自分で自分の首を絞めたという結果になったのではないかと思われます。

女は鬼門?

ラーヴァナについてはもう一つは予言があったようです。

それは“女性に関することで身を滅ぼす”というもので、彼がかつて人妻の天女を強姦したため、以後同じことをしたら頭が裂けてしまうという呪いをかけられていたというのです。

ラーマの妻シーターは美貌であったのでラーヴァナは自分のものにしようと脅したり、すかしたりしましたが、シーターは毅然とした態度で彼を拒絶しました。

ラーヴァナは何度もシーターに迫りましたが、思いを遂げることができなかったのは、この呪いが枷となったと言われています。

元はと言えば、ラーマとの戦争のきっかけも女(妹シュールパナカー)ですから、やはり女はラーヴァナにとっては鬼門だったのかも知れません。

エンタメ世界でのラーヴァナ

ファイナルファンタジー14に登場していますね。

頭が10、腕が20本とはいきませんが、腕は4本で雰囲気は出ているのではないでしょうか。

ラーヴァナ まとめ

インド神話の人気者ラーマを苦しめ、シーターと別れる原因になったということでラーヴァナは完全な悪役扱いです。

でも、傷ついた妹の涙にほだされて戦いを始めたというところに筆者は(魔族ですが)人間らしさを感じてしまうのです。

このあたりが羅刹族でありながら、創造神ブラフマーの血を引いているとされる由縁なのかも知れませんね。