ヴィシュヌ

【ヴィシュヌ】という字を初めて見た人は「美しい女神」と思うかも知れません。
最後に「ヌ」のつくカトリーヌとかディアーヌなんて言う女性の名前もありますしね。
でも、残念ながら女神ではありません。
インド神話で最も有名な神ヴィシュヌ。
今回はインド神話の最高神を紹介します。

ヴィシュヌとは?

インド神話では【三神一体の最高神の一人】とされています。
最高神ですからその能力は絶大で、《世界の維持と繁栄》を司っていますし、創造された世界を維持する大切な役割をも担っています。
この世界の最高責任者と言っても良いと思われます。

昔からヴィシュヌは様々な姿で絵や石像などで表現されてきましたが、法螺貝や円盤、棍棒、蓮華などを手にした姿が多いようです。
炎のように光り輝く神の鳥ガルーダを愛馬ならぬ愛鳥として乗っていると言われます。
ちなみにガルーダインドネシア航空という会社がありますが、その飛行機の機体には色鮮やかな鳥が描かれていました。多分ガルーダを想像して描いたものと思われます。

最高神たるヴィシュヌには沢山の別名があります。
アチユタ、アナンタ、太陽神、繁栄の神、ヒンドゥー教三大神などなど。
神話での最高神には太陽神という呼称が付きもののようですね。

ヴィシュヌの最大の特徴は【10の化身】を持つことでしょう。
必要とされる時に、ふさわしい姿で現れるヴィシュヌは、善を守り悪を滅ぼすとされています。

もともとはヴィシュヌとは太陽の光を神に見立てたインドの土着の神であり、バラモン教が盛んな時代は存在感も薄く、重要性がほとんどなかったヴィシュヌは様々な姿に変身することで多くの神話に登場するようになり、知名度もぐんと上がりました。
そのためでしょう、ヒンドゥー教が隆盛となると最高神としての地位を確立することになりました。
では続いてヴィシュヌに関係する事象について紹介していきますね。

アヴァターラ(化身・権化)

アヴァターラ前述したように、最高神ヴィシュヌは10の姿に化身し、世界を混迷から救うと言われています。

10の化身とは

  1. マツヤ
  2. クールマ
  3. ヴァラーハ
  4. ヌリシンハ
  5. ヴァーマナ
  6. バラシュラーマ
  7. ラーマ
  8. クリシュナ
  9. ブッダ
  10. カルキ

とは言え、いつも10化身と確定しているわけではなく、その内容が違うケースや、10ではなく22の化身と言われるケースもあるようです。
さすがは最高神、底知れぬパワーがありますね。

パンチャジャナ(法螺貝)

パンチャジャナ
パンチャジャナ(モンスト)

ヴィシュヌは必ず左手に左巻きの大きな貝を持った姿で描かれます。
ほとんどの巻貝が右巻きですが、この大型貝は左巻きでとても珍しいものなのだとか。

ヒンドゥー教の聖典が悪魔パンチャジャナに盗まれた時に、ヴィシュヌが魚に化けてパンチャジャナを倒し、聖典を取り戻したというエピソードがありますが、そのパンチャジャナの骨で作ったのがこの法螺貝と言われているのです。

法螺貝は祭り、結婚式などで使われる吹奏楽器で、日本の法螺貝(ほら貝)のルーツになったようです。

スダルシャナ(チャクラム)

ヴィシュヌ
スダルシャナとカウモーダキー(モンスト)

魔族アスラを退治する為にヴィシュヌが手にする武器で、太陽の純粋な炎から造られていると言われ、あらゆる闇、病、不幸などを拒絶する神聖な炎の旋回輪を表現しているそうです。
このスダルシャナが生まれたのには様々な言い伝えがありますが、太陽神と結婚したサンジュニヤーのエピソードを紹介しますと、サンジュニヤーは全てを創造する者ヴィシュヴァ・カルマの娘だったのですが、結婚はしたものの太陽の熱があまりにも強かったため、耐えきれず彼のもとを去ってしまったのです。
ヴィシュヴァ・カルマは娘の訴えを聞いて、太陽神を檻の中に入れて、熱を下げるために彼をかき回したとい、熱を下げたと言います。
いくら愛娘の頼みとは言え、婿に対してひどい扱いではないかと思いませんか?
いずれにしても太陽を攪拌したおかげでスダルシャナ・チャクラなどの宝物が出現したと伝えられています。
太陽を混ぜて温度を下げる…作物の稔りや人間世界に影響はなかったのかも気になります。

カウモーダキー(棍棒、矛)

火の神アグニがカーンダヴァの森を焼くときクリシュナ(ヴィシュヌの化身)は手助けをして共にインドラと戦いました。
その報賞としてアグニからもらったのが、不思議な力を持つ矛と雷撃を放つ棍棒です。
クリシュナはこの武器でダンタヴァクラを倒しました。

サルンガ(弓)

ヴィシュヌが持つ光の弓で、別名シャールンガとも呼ばれます。
矢はとても重く二つの山を足したほどで、放たれた矢は必ず持ち主の所に戻ってくると言いますから、まさに便利で無敵な神の矢と言っても良いでしょう。
ちなみにこのサルンガは日本の弓とは似ても似つかぬ、鳥の両翼のような形をしているそうです。
矢は貫くというより引き裂くという鋭利な武器で、魔王の頭を一撃で切り裂くほど鋭いとか。
化身のひとりラーマが魔王ラーヴァナに止めを刺したのは特殊な太陽神の矢とされますが、この矢にだけ翼があり、先端は太陽の光と炎で出来ているそうです。
それでは魔王も敵いませんよね。

パドマナーバ(蓮華)

蓮華
蓮華を投げるヴィシュヌ(モンスト)

宇宙ができる前にヴィシュヌは大蛇シェーシャ(竜王アナンタ)の上に横になっていたそうです。
そのへそから蓮の花が伸びて、そこから創造神ブラフマーが生まれ、ブラフマーの額から破壊神シヴァが生まれたと言われます。

ナンダカ(刀)

ナンダカ
クリシュナの持つ剣(ディオラムス)

不滅の刃を持つ神聖な剣です。
無数の悪魔を倒す為にクリシュナが使用したと言われます。
切っても切っても刃こぼれも、サビもしないというのは便利ですよね。

世界初の対戦格闘ボードゲーム「ディオラムス」ではクリシュナという名のキャラクターが剣を持っています。
これはナンダカでしょうか。

ガルーダ

ガルーダ『マハーバーラタ』にはヴィシュヌとガルーダの出会いが記されています。

乳海を攪拌して手に入れた霊薬アムリタをガルーダが奪ってしまいました。
取り返そうとヴィシュヌはガルーダと戦いますが、決着はつきませんでした。

なので「そなたに不死と高い地位を約束する。

その代わりに自分の乗り物なれ」という条件をヴィシュヌが提案し、ガルーダが受け入れたので、ヴィシュヌの乗り物になったと言われています。

アナンタ

アナンタ【終わりない】を意味する強大なナーガ(蛇)の王です。
別名シェーシャとも。
千の頭を持つと言われ、身震いをすれば大地が揺れるほどの大きさでした。
世界の始まりのとき、ヴィシュヌと、蛇アナンタ(またはシェーシャ)しか存在しなかったとも言われ、ヴィシュヌにとっては兄弟のようなつきあいの存在だったのかも知れません。
ヴィシュヌはアナンタの上で瞑想したり、眠っていたそうです。
ちなみにクリシュナの異母兄であるバララーマはアナンタの化身とされています。

『リグ・ヴェーダ』の賛歌

ヴィシュヌその名前に【遍満(広く一般に行き渡る)する】【行きわたる】などの意味がありますが、その名の通り、10体の化身であらゆる時代に出現し、あらゆる混迷を救済すると言われるのがヴィシュヌ神です。

インドで広く信仰されているヒンドゥー教の最高神とされる三神一体の一人で、現在のインドではその3神の一人である破壊の神シヴァと勢力を二分するほどの人気の神様です。
ちなみに一番人気がないのが創世神と呼ばれるブラフマーです。
この3神は世界誕生から再生までの任務を背負い、ブラフマーが創造、ヴィシュヌが維持、シヴァが破壊を担当しています。
破壊にも神がいるのは不思議に感じますが、創造には破壊が必要ということですから、必要な神なのでしょう。
世界の充実や維持繁栄はヴィシュヌの役目なので、これから派生して現世利益をもたらしてくれる神と見なされているのも人気の理由なのでしょう。
どこにでも行き渡るという太陽光のイメージが【行き渡る=ヴィシュヌ】という名の所以だと思われます。

聖典『リグ・ヴェーダ』によるとヴィシュヌ宛に“3歩で全宇宙を踏み越える”という讃歌が捧げられているそうです。
巨大な神と思われていたのでしょう。
しかし前述したように、バラモン教隆盛の時代にはヴィシュヌはそれほど重要な神という扱いではありませんでした。
証拠となるのが『リグ・ヴェーダ』の賛歌です。
全1,028篇の讚歌がありますが、ヴィシュヌ単身に捧げられた讃歌はわずか5篇しかありません。
賛歌を捧げられるということは信仰の証拠ですから、ヴィシュヌ信仰は大して流行っていなかったということでしょう。
1,028篇のうち約4分の1を捧げられた雷神インドラに比べたら、その差は明らかです。
言わば冷や飯食いだったヴィシュヌがどのようにヒンドゥー教の最高神になり得たのでしょう。
その謎を解く鍵は【化身】にあるのです。

化身のおかげで最高神に

ヴィシュヌヴィシュヌが最高神とされる重要なきっかけとなったのが叙事詩『マハーバーラタ』です。
今まで何回も登場したこの文献はヒンドゥー教関係の文献では一番と言っても過言ではない高い知名度と人気を誇っています。
ヴィシュヌは英雄クリシュナの化身となり、アルジュナを教え導き、勝利を与えました。
このクリシュナの活躍は『マハーバーラタ』から独立した聖典『バガヴァッド・ギーター』などの文献にもたくさん描かれています。
このクリシュナ英雄譚がきっかけとなりヴィシュヌ神話が国内に広まっていったとも考えられるようです。

この世が混乱に陥ると、ヴィシュヌは化身となり人々を救いに現れると信じられるようになり、クリシュナ以外の神(ラーマ、ブッダなど)や半身半獣も次々に自分の化身として取り込んでいきました。
その結果、数多くの神話の重要人物は“その正体は実はヴィシュヌだった”ということになってしまい、彼自身の重要性を飛躍的に向上させることになったのです。
だからこそ、同時に2体の化身がいたりするわけですね。
化身同士戦うこともありますし。

ヴィシュヌの重要性が高くなると同時に、ヒンドゥー教でのヴィシュヌ=インド神話の最高神という立場をも確立させることになりました。
『バガヴァッド・ギーター』によると、クリシュナは「私は善を行う者を守り、悪を行う者を滅ぼし、正義を貫くためにそれぞれの世界に出現するのです」とヴィシュヌの化身の目的と意義を明確に言葉にしています。
このようなわかり易さが、化身という概念を人々に浸透させる土台となったのでしょう。

10体の化身

ヴィシュヌの化身は10体いますが、姿は人形とは限らす、時には獣であったり、時には半身半獣など不思議な姿をしたものもいます。
具体的な化身の活躍についてはそれぞれの章で紹介したので、ここでは簡単におさらいしておきます。

第1の化身 ~ 角のあるマツヤ

マツヤ

マツヤとは【魚】の意味で、人間の始祖マヌを大洪水から救ったとされる魚のことです。
大洪水の発生前、人間の賢者マヌの前にマツヤ(魚)に化身したヴィシュヌが現れ、7日後に大洪水が起こると預言して、「船に全ての植物の種子と7人の聖者を乗せなさい」と助言したそうです。
このエピソードは何かと似ていますよね。
『旧約聖書』にある『ノアの方舟』です。こちらが原型のストーリーとも言われているようです。

第2の化身 ~ 巨大な亀 クールマ

クールマ

神々と悪魔が乳海を攪拌して、霊薬アムリタを取り出そうとしたとき、クールマは海底に沈み、乳海をかき混ぜるためのマンダラ山をその背に乗せて、山を回すための受け軸の役を果たしたのです。
そのおかげで、アムリタを始め、女神ラクシュミなど多くの宝物が海から生まれたと言います。

第3の化身 ~ 頑丈な牙をもった猪 ヴァラーハ

ヴァラーハ

大洪水から船で逃れたマヌでしたが、大地は魔神・ヒラニヤクシャが海底に沈めてしまい、降りることができませんでした。
ヴィシュヌに助けを求めると、彼は巨大なイノシシに化身し、魔神を倒したのです。
そして大地をその牙で持ち上げ、元に戻したそうです。

⇒ ヴァラーハとヒラニヤークシャ~大地を取り戻した大猪~

第4の化身 ~ 獅子の頭に人間の体のヌリシンハ

ナラシンハ

ヴァラーハに倒されたヒラニヤクシャの兄弟ヒラニヤカシプはヴィシュヌに復讐するため、巨大なパワーを得たそうです。
そのあげく世界を炎に包んだため、創造神ブラフマーは背に腹は代えられないとばかり「火を消すなら望みを叶えよう」と申し出ます。
「炎を消すから、俺を人間はもちろん神にも殺されない体にしろ」というヒラニヤカシプの要望を飲まざるを得ませんでした。
その結果、ヒラニヤカシプは世界を征服してしまい神々は困惑。
ところが彼の息子がヴィシュヌに傾倒したため、ヒラニヤカシプは激怒し、息子を殺そうとしたのです。
そこに登場するのがヴィシュヌの4番目の化身であり、人間の体にライオンの頭という、人でも神でもないヌリシンハ。
と言うことで、ヒラニヤカシプはヌリシンハに倒されました。

⇒ ナラシンハ【ヌリシンハ】~ヒラニヤカシプを倒した半獣~

第5の化身 ~ 小人のヴァーマナ

ヴァーマナ

魔族の王バリは人格者(矛盾しているような気がしますが)でした。
彼は異常なほどの熱意でもって修行し、神々が呆れかえるほどのパワーを得たのです。
それだけではなく、そのパワーで天界、地上界、地下世界の三界を征服してしまいました。
前述のヒラニヤカシプもそうですが、征服されるまで「あんた達(神々)は何をしてたんじゃい」とつっこみたくなったのは筆者だけでしょうか?
さてまたまた困った神々はヴィシュヌに助けを求めます。
するとヴィシュヌはヴァーマナ(こびと)の修行僧としてバリを訪ね、お世辞を浴びせて彼を持ち上げます。
誉められて嬉しくない者はいません。
バリは「愛い奴じゃ。望みのものを授けよう」とニコニコ上機嫌。
ヴィシュヌことヴァーマナは「では私が3歩で歩ける場所を下さい」と言ったのです。
ヴァーマナの大きさをわかっているバリはあっさりと「よーし、その望みを叶えてやろう」と言うや否や、ヴィシュヌは本来のサイズに戻り、1歩目で地上界、2歩目で天界を踏み越え、3歩目で地下世界にいるバリの頭を踏んで斃してしまいました。
そして全ての世界を取り戻したのです。
【褒め殺し】で油断させ、だまし討ちにする…「おぬしもやるのう」なんてヴィシュヌに言いたくなりませんか?

⇒ ヴァーマナ~アディティの願いとバリを倒した巨大な3歩~

第6の化身 ~ パラシュラーマ

パラシュラーマ

当時権勢を誇っていたクシャトリア達の暴虐からバラモン達を守るため、有名なバラモンであるジャマド・アグニの息子として生まれました。
バラモンなのに武術に興味津々でシヴァ神のもとで修業したと言われています。
クシャトリヤである王族に殺された父の復讐のため、その王族を強力な武器(斧)を振り回して皆殺しにしてしまったそうです。
世界の平和を守るはずのヴィシュヌの手段としてはなかなか血生臭い解決方法ですね。

⇒ パラシュラーマ~不滅の斧パラシャを持つ最強の英雄~

第7の化身 ~ 『ラーマーヤナ』の主人公 ラーマ

ラーマ

ヴィシュヌの化身としては知名度1、2を争うヒーローではないでしょうか?
武術に優れ、知性も持ち合わせた王子。
しかも美しい妻にも恵まれ…とおとぎ話の主人公設定そのままですが、妻シーターへの複雑な思いに縛られ、その後半生は陰りを帯びたものになりました。

第8の化身 ~ クリシュナ

クリシュナ

彼こそがヴィシュヌ化身のコアとも言えるでしょう。
叙事詩『マハーバーラタ』では知力も備えたすぐれた勇士として登場します。
美形で頭脳明晰、勇猛なる戦士…まさに典型的ヒーロー像です。
戦友アルジュナに神としての自分の本性を明かし、助言を与えた部分は特に『バガヴァッド・ギーター』と呼ばれ、宗派、国、人種を問わず愛読されています。

⇒ クリシュナ~インド神話きってのイケメンと英雄アルジュナ~

第9の化身 ~ 仏教の開祖 ブッダ

ブッダ

ブッダは魔神や悪人達を間違った教え(仏教)でだまし、ヴェーダの教え(ヒンドゥー教)から遠ざけ地獄に落とすとされています。
ヒンドゥー教最高神ヴィシュヌの化身がそんなことを?と混乱しそうですが、一旦仏教徒としてから、ヒンドゥー教で救うということなのかも知れませんね。
時、新興宗教として勢いがあった仏教に対するネガティブキャンペーンではないかと思われます。

第10の化身 ~ 白馬の騎士 カルキ

カルキ

化身の中で未だ出現していないのがカルキです。
聖典『アヴァターラ』の中で唯一【未来に出現する】と預言されている存在なので、仏教における弥勒菩薩を連想させますね。
法や道徳が荒廃したカリ・ユガと呼ばれる悪魔の時代に出現し、全てのアダルマ(不法)を滅ぼしてダルマ(法)を再興させる者とされています。
簡単に言うと、人類が堕落しきって滅びそうになった時、悪を滅ぼし正義を復活させるべくその姿を現すと言われます。

エンタメ世界でのヴィシュヌ

最高神という設定のヴィシュヌはエンタメにはもってこいのキャラクターですね。
『女神転生』や『ペルソナ』シリーズの常連としておなじみです。

『女神転生』シリーズのヴィシュヌ

ここでは10の化身が全て登場し、破壊神シヴァと拮抗したパワーを持ち、強力なサポートをしてくれます。
ほぼシリーズ全作品に登場しますが、ヴィシュヌでの初登場作品はFC版『女神転生Ⅱ』で、魔神種族の中でも上位悪魔としての待遇を受けています。
化身であるクリシュナは『女神転生』に登場していて、以降の作品でも“クリシュナの姿をしたヴィシュヌ”として登場しています。

ヴィシュヌ

『ペルソナ』でのヴィシュヌ

最高神だからさぞかし強力なペルソナかと思いきや、最強と呼べるペルソナではありません。
『異聞録』では(憤怒相)の仮面を被った灰色のピエロのような姿でした。
ここでヴィシュヌを召喚するために必要なアイテム【封神具】の名前が、アヴァターラ=化身ですから、原典に近いと感じますね。

ヴィシュヌ

 

『真・女神転生Ⅳ FINAL』でのヴィシュヌ

ヴィシュヌとして直接登場はしないのですが、多神連合を束ねる魔神クリシュナ(魔神に分類されています)が、己の≪神殺し≫として拉致したフリンと一体化することで、ヴィシュヌフリンの姿になります。
ヴィシュヌと名前は付いていますが、元となったフリンの容姿に黒い神クリシュナの性質を反映するかのように金と黒のツートンカラー(蜂?)で、それこそがクリシュナ本来の姿と思われます。

クリシュナには全てを終末に導く苛烈な神性と、カリ・ユガ(末世)に幕を引き、世界を新たに誕生させるヴィシュヌの化身の一人カルキのように激しい闘争の力を備わっていると言われます。
でも、よく考えるとカルキって未だに出現していないはずですよね。
どんな性格なのかも不明ではないかと思うのですが…。

アニメ『天空戦記 シュラト』でのヴィシュヌ

ラクシュミの章でも紹介しましたが、人間界から転生させられたシュラトとガイが送り込まれた天空界の支配者が調和神ヴィシュヌです。
ただし、ここのヴィシュヌは「様」付けで呼ばなければならないほどの気品ある美貌の女性。
何と言っても声優がクラリスやナウシカの島本須美!当然と言えば当然ですね。
シヴァ神率いるアスラ族との戦いの中で力尽きて亡くなりました。
後継者となったのは原典のヴィシュヌの妻を彷彿させるラクシュという少女でした。

ヴィシュヌ~メガテンシリーズでお馴染みのインド神話の最高神 まとめ

世界を維持する神、繁栄の神、最高神…ヴィシュヌには色々な敬称がありますね。
維持するためにはルールを破る者を罰しなければならないし、無難な手段では通じない相手もいることでしょう。
それぞれの状況に対応するからこそ、万人納得の正義を示す時もあり、恐ろしく残酷な手段に出ることもあるヴィシュヌ。
この多面的な言動こそが、世界を保つ要になっているように感じます。