raksasa

インド神話には多くの神と悪魔、鬼神が登場しますが、今回紹介するラークシャサは鬼神の一人です。

人間を喰らう恐ろしい存在を連想しますが、さて本当のところはどんな存在だったのでしょう。

羅刹ラークシャサ|神が生み出した魔族

ラクシャス、ラクササ、ラクシャーサと表記されることもある鬼神で、女性は【ラークシャーシー】と呼ばれます。

人間を傷つけり、お祭りなどの厳粛な儀式を混乱させる悪鬼がラークシャサと言われ、その姿は【火のように光る鋭い眼】【異常に長い尾】を持ち、【長大な腕】に【動物の顔】をしていて、一般的な人間とは全く異なる姿です。

まさに【異形】の存在であり、空中を歩けるという超能力も持っているとされています。

また一説によると、美的感覚が人間とは全く違っていて、人間の目からすると醜いと思うラークシャーシーほどラークシャサ仲間では美人と思われるということです。

 

ラークシャサは陽が落ちて夜になると出没し、いろいろなものに変化できるそうです(西洋の吸血鬼=パンパイヤを連想させますね)。

例えば犬や鷲、梟、郭公、カッコウなどの鳥類、あるいは猪、時には人間にも変化するとか。

但し、人間になるときは、相手の身内や夫婦なら相方の姿になるようですが、何か理由があるのでしょう。

彼らが住んでいる場所は【墓場の屍体の中】と言われます。

これもそうですが、人肉を喰らうラークシャサもいるらしいということが、いかにも禍々しい存在ということを感じさせますね。

 

伝承によると、ラークシャサはブラフマーの息子聖仙プラスティヤの子と言われたり(ブラフマーの孫ということですね)ブラフマーの別の息子カシュヤパの子という説もあります。

どちらにしても創造神ブラフマーの孫というわけで、神の孫が鬼神なのか?とびっくりしますよね。

有名な叙事詩『ラーマーヤナ』には“ブラフマーが河を造った時に、ラークシャサをその守護者にするため造った”と書いてあります。

鬼神ではありますが、このように時には人間の役に立つこともあったようですね。

羅刹一族の王はラクシュマナやハヌマーン、シーターで紹介したラーヴァナで、ラークシャサの兄に当たるそうです。

現在のスリランカとされるランカー島が本拠地で、ここに住むラークシャサは数億人以上いるそうです。

王であるラーヴァナの親族は魔力が強く、苦行や儀式でよりパワーアップした者も多く、神々やアスラ族でさえ退けてしまうと言われています。

羅刹

他のインド神話のキャラクターと同様、ラークシャサも仏教に取り入れられ、名前が変わりました。

ラークシャサという音から羅刹、羅刹女と表現されたり、難しい名前では可畏(おそろ、こわ、むくつけなどと読むそうです)、速疾鬼(そくしつきと読むそうです)などとも訳されるそうです。

漢字からしても、人間にとって恐ろしい者、逃げても捕まってしまうという恐怖を感じさせる存在だったのでしょう。

仏教に取り込まれてからは、毘沙門天の部下として仏教守護神の役目を担うようになりました。

エンタメ世界でのラークシャサ

ゲーム『女神転生シリーズ』

このシリーズでは【ラクシャーサ】という名前で登場します。

原典のラークシャサに準じて鬼神の種族になっています。

デザイン的にも“鬼”を連想させる姿をしています。

ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』

ラークシャサ、ナズサルーン
画像出典:http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/

架空の魔族で、侵略者という設定です。

自分自ら戦うことを卑しんでおり、頭脳派ということになるようですね。

“秩序にして悪”という二面的な性質を持っているそうです。

漫画『ベルセルク』三浦健太郎

アニメ化もされた人気長編漫画『ベルセルク』には【ラクシャス】というキャラクターが登場します。

ラークシャサはラクシャスとも呼ばれますから、モデルになっているのは間違いないでしょう。

1世紀から3世紀までインドや中央アジアを支配したクシャーナ王朝というのがありますが、ラクシャスはこれに由来すると思われるクシャーン帝国出身の性別不明なキャラクターです。

『聖伝』CPLAMP

created by Rinker
¥923 (2020/09/22 11:36:51時点 Amazon調べ-詳細)

主人公の一人夜叉王の弟が羅刹という名前でした。

側室の子ではあるけれど、年上で有能な夜叉に王位を揺するために逐電した男です。

兄が阿修羅をかくまったため、一族が全滅したことを非難しますが、兄の真意を知り、二人を逃がした後、帝釈天の部下広目天に殺されました。

兄を慕う、情に篤い青年でした。

羅刹ラークシャサ まとめ

『ラーマーヤナ』の主人公ラーマがランカー島を攻めたとき、ラークシャサの活躍については記載されていないようですが、兄ラーヴァナや甥インドラジットとともに戦ったことでしょう。

原典のインド神話より、仏教の羅刹天としての活躍が有名なラークシャサですが、仏画に表される姿は悪鬼そのもので、こちらが本性なのかなと考えてしまいます。