真打ち登場!
ギリシャ神話の神々の中では知名度人気ナンバー1と言って良いでしょう。
アニメ、漫画に引っ張りだこ、ゼウスの愛娘である美しき知恵と戦いの女神アテナを紹介します。
アテナイを守護する知勇兼備の女神
ゼウスの娘にして、オリンポス12神の一人であるアテナは、異母弟にあたるアレスとならぶ軍神で、鎧を身にまとい、槍と盾を手に戦場を駆け抜ける凛々しい女神です。
その一方、彼女は知性、学問、あらゆる技芸(機織り、冶金など)を職掌としています。
言わば美と勇敢さ、知性を兼ね備えた才色兼備であり、勇敢な女神で、ペルセウスを始めとする英雄を守護してあげたと言います。
彼女の聖鳥はフクロウ、聖木はオリーブです。
アテナはローマ神話ではミネルヴァ神と同一視されています。
ミネルヴァ書房という出版社がありますが、この会社のトレードマークはフクロウです。
アテナ=ミネルヴァにちなんだのでしょうね。
そして、その名を冠にいただく都市国家アテナイ(アテネ)の守護神でもあります。
アイギスの盾
アテナが手にしている盾の名前です。
鍛冶の神ヘパイストスがメデューサの首を埋め込んで作りました。
この盾は、父であるゼウスが知勇兼備した娘に与えた防具で、神界最強の盾と言われています。
盾と言っても一般的なものと違って胸当てという説もあります。
材料がゼウスに乳を飲ませた牝山羊アマルティアの革なので、胸当てというのが正しいように思えます。
メデューサはゴルゴン三姉妹のひとりで、髪の毛はヘビ、見た者を石にすると言われる怪物です。
なぜメデューサの首が付いているのか、アテナが成敗したわけではなく、アンドロメダとのロマンスで有名なペルセウスがアテナの助力によってメデューサを退治し、首を献上したのです。
アテナはメデューサの首を喜んで受け取り、盾に付けたそうです。
ちなみにアイギスを英語で読むと《イージス》です。
艦隊防衛システム《イージス》はアイギスの盾に由来すると言われています。
最強のシステムということなのでしょう。
アテナと星座
戦いの女神に関係する星座は馭者座です。
処女神であるはずのアテナには、なぜか息子がいたらしいのです。
その名はエリクトニオス。
父は異母弟の鍛冶の神ヘパイストスです。
これにはアテナの出生にまつわるエピソードが関わっていました。
自分の権力を奪われることを恐れてゼウスは、アテナを身ごもったまま母のメティスを飲み込んでしまったのです。
アテナはゼウスの頭の中で成長し、痛みに耐えかねたゼウスはヘパイストスに頭を斧で割ってもらったのですが、その時「産まれた子どもをおまえにやる」と約束したという話があるのです。
ですから、産まれた子ども=アテナは自分のものだと思い込んだヘパイストスは、アテナを追いかけました。
最後まではいかなかったのですが、彼女を押し倒したときに、彼の精液が土に滴り落ち、そこからエリクトニオスが産まれたと言われます。
彼は、足が不自由でしたが(下半身が蛇だったという説もあります)4頭立ての戦車を発明した功績から、天に送られて馭者座になったそうです。
戦いの神アテナにふさわしいものを発明した才能は父(?)のヘパイストスから受け継いだのかも知れませんね。
戦いと知恵の女神
武具に身を固め、戦場を駆けめぐる勇ましい女神アテナは、戦いだけではなく、知性、学問、機織りや陶芸、美術、音楽などのあらゆる技芸、さらに造船術からペンキ塗りにいたるまで多くの知的活動を司っている神です。
ローマ神話では家庭と技芸の守護神ミネルヴァと同一視されていることは前述しました。
美貌で頭も良く、勇気もあるアテナはギリシャ神話ではトップクラスのスーパーウーマンとも呼べるでしょう。
しかもオリンポスの王ゼウスの最もお気に入りの娘でもありました。
彼女の誕生についてはゼウスが忌避したというエピソードもありますが、産まれてみればこんなにすばらしい娘を愛さない父親がいようか、というわけで、一番の愛娘になったのです。
父ゼウスの強力な協力者
誕生時に父ゼウスを悩ましたアテナは、知恵の女神であった母メティスの賢明さと、男戦士の力強さとを合わせ持っていました。
ゼウスとヘラの間の息子、彼女の異母弟アレスも軍神と呼ばれ、戦争を司りますが、アレスが戦いでの暴力や殺戮を扱うのに対し、アテナは戦略や戦術など知的な部分の戦争を司っていました。
ギリシア神話には激情にかられて失敗するアレスと冷静沈着なアテナの話がありますが、戦いの表面的な部分(戦死者の数など)をアレスが、陰の部分(武器、兵站など)をアテナが握っていたのではないかと思われます。
そんなアテナとアレスは不仲で、何回もケンカになりましたが、知恵の神アテナは何度もアレスに勝利しました。
ペルセウスやヘラクレスたち英雄の冒険を助けたり、勇気ある男たちの行動を見守るアテナ。
先ほど書いたように、彼女は夫を持たない処女神ですが、同じく処女神である異母妹アルテミスのように、時には異常なほどの潔癖症で男を忌避することはありません。
男たちの勇敢さを愛したアテナは英雄の守護神でもあったのです。
蜘蛛に変えられたアラクネ
その一方で、自分の純潔を汚そうとした者(自分の神殿を汚した者)は決して許しませんでした。
神を侮辱したり、神と競おうとする傲岸不遜な人間には厳しい神罰を下したのです。
知恵の女神でもあったアテナは馬をならす術や、造船技術、機織りなども人間に教えました。
その機織りが非常に上手いアラクネという少女がいました。
彼女は自分の技術に自信のあまり「アテナ様より私の方が上手い」と自慢し、勝負を挑んだのです。
アラクネの織った布は神々の享楽的な様子を織ったもので、それはそれはすばらしい出来映えでしたが、アテナの怒りを逆にあおることになりました。
アテナは、彼女をクモに変えてしまったのです。
クモが糸を吐いているのは、織物を織っているからだと言われたそうです。
人間の傲慢さを決して許さない厳しい女神。
しかし、人々に知恵をもたらしてくれるアテナはギリシャ世界のあらゆる場所で崇拝され、その総本山ともいうべきアテナイのアクロポリスにはアテナを祀る「パルテノン神殿」や「アテナ?ニケ神殿」など荘厳な神殿が建立されました。
数千年の時を越えて現在にもその姿を残しています。
アテナ~アイギス(イージス)をもつ美と知性を兼ね備えた軍神~ まとめ
アテナが登場する作品で有名なのは漫画『聖闘士星矢』のヒロイン城戸沙織でしょうか。
アニメ化され大人気となったのでご存じの方も多いはずです。
女神アテナの生まれ変わりとされる彼女ですが、ギリシア神話のアテナのように気に入った英雄にだけ助力するのではなく、人類全体に愛を注ぐ広いこころの持ち主となっています。
またアニメ『Zガンダム』少女ミネバを連想する方もいらっしゃるのでは?
大人達の都合で、ザビ家の生き残り令嬢ミネバの影武者を務めさせられた少女はかわいそうでしたね。
どんな漫画、アニメでもアテナには凛々しい戦乙女、真面目で融通の利かない美少女というキャラが多いようです。
元々の女神アテナの印象が強すぎるのでしょうね。
美女で、頭も良く、男を嫌うでもなく適度な距離でつきあう…恋人は無理ですが、女上司としては最高かも知れませんね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。