現在地球を意味する単語として使われる『ガイア』
特撮にも登場します。
平成ウルトラマンシリーズの『ウルトラマン・ガイア』は二人のウルトラマンが登場するということで話題になりましたね。
ガイアはヒーローらしく赤を基本としたカラーリング、もう一人のウルトラマンアグルは海を連想させる青のカラーリングでした。
この記事では、地球の母とも言える女神ガイアについて紹介したいと思います。
万物のはじまりカオスと原初の神ガイア
ギリシャ神話では万物の始まりは混沌=カオスと言われています。
ある日突然カオスに巨大な裂け目が産まれ、その中から原初の女神ガイアが登場したのです。
彼女は一人で天空=ウラノスなどを産みました。
後に、ウラノスとの間にクロノスを始めとする巨人族=ティターン族とキュクロプスなどの怪物を産んだのです。
ガイアが産んだもの達は、後にギリシャ神話に名を残す、数多くの神々や怪物などでした。
ガイアは万物の母とも呼ばれ、ギリシア神話初期の出来事には必ずと言って良いほど関わってくる女神です。
自分が命じた夫=ウラノスの殺害、孫に当たるゼウスへの支援など、ゼウスが神々の王として主導権を握るまでは、彼女が黒幕と言って良いかも知れません。
地球(ガイア)
ガイアとも呼ばれ、正にガイア神を示すものとされています。
中国の古代神話では《地球や人間を含めた万物は女蟐》という女神が生み出したと言われています。
どちらも女神が生み出したとされているところに、国は違っても【母=生み出す性】という解釈の共通性があると感じますね。
原初の神々とティターン族12神
【原初の神々】
では、世界の始めに存在したとされる神々を紹介します。
《カオス》
混沌と呼ばれる世界の原初に存在していた目も鼻もないドロドロとしたモノと言われています。
《ガイア》
この記事の女主人公。世界を形成した地母神にして、大地を司る万物の母女神。あるアニメでは「大母神」という形容詞をつけて呼ばれていました。まさに慈愛と恐怖の二面性を持った大いなる母です。
《タルタロス》
底知れない暗闇などを「奈落」と言いますね。この神はガイアやエロスと共に産まれたのですが、「奈落の神」と呼ばれています。
《エレボス》
ガイアではなく、カオスから誕生した暗黒の神です。《タルタロス》と似た性質ですね。
《ニュクス》
カオスから誕生した夜を司る女神。《ニュクス》とはギリシア語で夜を意味するそうです。
《アイテル》
アイテールとも言います。エレボスとニュクスからうまれた、光る大気の神だそうですが、暗黒と夜から光が誕生するというのは、マイナス×マイナスがプラスになるようだと思ってしまいます。
《ヘメラ》
ヘーメラー、へーメレーとも言います。昼間、昼の光という意味のギリシア語で、彼女は昼の女神です。ヘメラが世界を巡ることによって、昼がやって来るそうです。
《エロス》
別名のキューピッドの方が有名ですね。カオスからガイア、タルタロスと同時期に産まれた神とされます。愛恋の神と言うより愛欲に近い神とされ、エロスの誘惑には誰一人敵わないそうです。後に愛の女神アフロディーテとの息子とも言われるようになり、一緒に行動するようになりました。
《ウラノス》
ガイアが産んだ息子にして夫。原初の神々のリーダー格で、天空を司る神とされます。
《ポントス》
この神もガイアが産んだ一人です。海の神とされます。
【ティターン族】
ガイアがウラヌスと交わって産んだ神々をティターン族と言います。
《クレイオス》
ガイアとウラヌスから産まれた男神。探したのですが、この神のエピソードはほとんどないようです。
《ヒュペリオン》
日本語ではヒュペリオンですが、ギリシア語では《ヒュペリーオーン》と言い「高みを行く者」の意味です。太陽神ですが、確かに太陽は大空の高みにありますね。太陽神ヘリオス、月の女神セレネの父でもあります。
《イアペトス》
ガイアとウラヌスの間の子どもですが、本人より息子達の方が有名ですね。アトラスやプロメテウス、エピメテウスが息子です。特に後の二人は人間に大きな影響を与えた神です。
《コイオス》
女神レトの父親です。レトは後にゼウスとの間に双子神アポロンとアルテミスを産んだので、コイオスは祖父ということになります。
《オケアノス》
海流を司る男神です。当時、世界の大きさを知らない人々は世界の果て=オケアノスの海と呼んでいたそうです。この神はティターン族の中でただ一人、クロノスがウラヌスを倒す謀議には参加しなかったと言われています。先見の明があった神ではないかと思われます。
《テテュス》
オケアノスの妻となり、河神、海、泉、地下水などの神を産みました。また、ヘラをクロノスからかばって育てたとも言われていますが、クロノスの子どもはゼウス以外飲み込まれたはずなので、これは違うと思われます。
《ティア》
ティアーとも呼ばれます。ヒュペリオンの妻でヘリオスやセレネたちの母です。他のエピソードは残念ながらありません。
《テミス》
掟、正義の女神と言われます。ゼウスの2番目の妻となりました。ドラマなどで天秤を持つ女神像を置いている裁判所のシーンがありますが、テミス像です。天秤は法の公平さを意味しているそうです。
《ムネモシュネ》
記憶を司る女神。ゼウスとの間に神(ムーサと呼ばれる文芸を司る女神)を産んだと言われています。複数形がムーサイで、フランス語になるとミューズ、英語の複数形がミューゼスとなり、ミュージアムにつながっているということがわかりますね。
《ボイベ》
ギリシア語ではポイベーと言います。光明を司る女神で、コイオスの妻となりました。双子神アポロンとアルテミスの祖母ということになります。
《レア》
大地の女神であり、クロノスと交わり、ゼウスたち6人の子どもを産みました。彼女の母としての嘆きがオリンポス族との戦いの一因だったと言えましょう。
《クロノス》
ティターン神族の長で神々の王ゼウスらの父ですが、実の父ウラヌスを殺害した「父殺し」の汚名を背負った神でもあります。後に、彼の怯えと残酷さが自分の身を滅ばすことになりました。
ガイア~連綿と続く母の命に比べれば男たちの命など鴻毛のように軽い~ まとめ
大地母神ガイア。
筆者にとってのガイアは安彦良和原作アニメ映画『アリオン』に登場するガイアです。
「連綿と続く母の命にくらべれば、男たちの命など鴻毛のように軽い…」と言い放ち、男たちを手玉に取る巨大な女神として、インパクトのあるキャラでした。
ガイアは母としての優しさ、深さと女としての熱く暗い情念を持ち合わせた女神…
そんな気がします。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。