ヴァーマナは一見すると化粧品のような名前ですが、れっきとしたインド神話の神様です。
最高神ヴィシュヌが変化した10の姿の一つで、なかなかの知恵者ですよ。
ヴァーマナとは?
インド神話上、最高神であるヴィシュヌは必要なときに必要な姿に変化し、悪魔や魔神と戦います。
ヴァーマナはヴィシュヌ5番目の変化した姿と言われています。
ヴァーマナは小人と呼ばれていましたが、妖精のような小ささ(手のひらサイズ)ではなく、小柄な人間の少年と同じぐらいの大きさとされています。
ヴァーマナのエピソードは古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』の中にあり、【ヴィシュヌは全世界を3歩で歩く】という讃歌がベースになっているそうです。
神ですから、ヴィシュヌの本当の姿は巨大だったのでしょう。
この話は『バーガヴァタ・プラーナ』などにも登場します。
3界を支配したマハーバリ
神族に対抗するアスラ族のダイティヤと呼ばれる巨人の王バリ(マハーバリとも言います)は、大変な苦行を積むことによって神々を超える力を得ました。
その力を振るって天界、地上、地下の3界を支配したのです。
神はあっさりと負けたのでしょうか?なんか疑問を感じてしまいますね。
さて天界をも支配されてしまった神々。
この時、無垢の女神アディティが神々を救ってくれるようにヴィシュヌに願ったそうです。
他の神々はどうしていたのでしょう。
捕まっていたのでしょうか?
ちなみにアディティは【すべての存在の母】とされているそうです。
だからこそ、仲間の苦難を見過ごすことができなかったのでしょうね。
ともかく、アディティの願いを聞いたヴィシュヌは、アディティの息子(アディティは文字どおり母でしたね)の少年僧ヴァーマナに化身してバリの元を訪問します。
アスラ族ではありましたが、バリは僧が訪問したくれたことを喜んで「あなたに望みのものを何でも与えましょう」と申し出ます。
するとヴァーマナは「では自分が3歩で歩けるだけの場所を下さい」という望みを言いました。
3歩と言っても、ヴァーマナは小柄な少年です。
足も短いので歩幅も小さい。
大した面積ではないと油断したバリは「わかりました」と承諾してしまいました。
待ってましたとばかり、ヴァーマナは即巨大化。
たった1歩で地上を、2歩で天界を踏み越えたのです。
ここら辺の賢い対応がヴィシュヌならではと思ってしまいます。
3歩目についてはバリを許して地下に追放したという説も、頭を踏みつぶして殺してしまったという説もあります。
エンタメ世界のヴァーマナ
2002年にXbox用のゲームとして発売された『パンツァードラグーンORTA』では超巨大空中戦艦にヴァーマナという名前が付いています。
その戦艦自体がステージになっているというドデカさです。
ヴァーマナ自身は小柄と言われていますが、ゲームになると逆に巨大化するんですね。
ヴァーマナ~アディティの願いとバリを倒した巨大な3歩~ まとめ
今回ヴィシュヌは、実在の少年僧に化けましたが、当の少年の気持ちはどうだったのでしょう?
自分と同じ姿の最高神に会った本物のヴァーマナの感想を聞いてみたいものです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。