ヴァラーハはヴィシュヌ第3の化身とされています。
インド神話の最高神ヴィシュヌは変化する神であり、10の姿に変化したと言われています。
今回紹介する3番目の変化ヴァラーハは、どのような神だったのでしょう。
ヴァラーハとは?
【ヴァラーハ】という言葉は【野猪=野生の猪】という意味を持っています。
その姿は長い牙をもった猪で、なんとこの牙で大地を支えているとされているのです。
よほど大きい猪なんでしょうね。
インド神話上、トップに立つヴィシュヌ神の第3の化身と言われるヴァラーハが大地を支えているという話は、『バーガヴァタ・プラーナ』や『パドマ・プラーナ』など数多くのプラーナ文献に散見されます。
ちなみにプラーナ文献とは、ヒンドゥー教聖典の総称であり、【古い物語】という意味だそうです。
では、ヴァラーハの活躍を紹介しましょう。
大猪ヴァラーハ
【黄金の目】という意味を持つ魔神ヒラニヤークシャは神々と戦っている最中に、なんと大地を鷲づかみにして海に投げ入れてしまったのです。
自分が立っているはずの大地をどうやって持ち上げ、投げ入れたのだろう?という疑問は無視してください。
そこが神話の神話たる所以です。
さて、大地を投げ捨てられた神々は困りました。
ちょうどこの頃、創造神ブラフマー(ヴィシュヌと並ぶ有名な神です)の息子スヴァヤムブヴァ(ヴィヴァスヴァタ・マヌ、マヌとも呼ばれます)は新しい世界を創造するため、瞑想できる場所を探していたそうです。
ところが魔神によって大地が水没してしまったので、心静かに瞑想できる場所が見当たらなくなってしまいました。
神なんだから、どこでも集中できるのではないかと思うのですが、騒音があったり、落ち着かないところではダメなんでしょう。
そこで【困ったときのヴィシュヌ様詣で】ではありませんが、ブラフマーはヴィシュヌに相談。
と、すぐさまヴィシュヌの鼻から小さな猪が飛び出し、あっという間に山のように巨大化しました。
この猪がこの章の主役であるヴァラーハです。
ヴィシュヌの鼻から産まれたので、ヴィシュヌの化身とされるのです。
巨大猪ヴァラーハは水中に飛び込み、大地を探し当てると、その牙で持ち上げました。
犯人であるヒラニヤークシャは邪魔をしようとしたのですが、ヴァラーハは棍棒で殴りつけ、返り討ちにしたのです。
そして大地を水の上にしっかりと固定しました。
ヴァラーハことヴィシュヌの活躍によって、大地は再びその姿を現し、新しい創造の土地ができたということです。
一説によるとこの戦いは1000年も続いたということです。
その間、神々も悪魔も足を下ろす大地がなくて、相当苦しかったのではないかと想像してしまいます。
エンタメ世界のヴァラーハ
『ファイナルファンタジー10』ではツノ族のモンスターとなっています。
猪の姿ではないようですが、角があるところが猪と共通していますね。
ツノもレベルによっては4本になったものもいますし、強力な武器を得るととんでもなくパワーを持つのだとか。
ヴァラーハとヒラニヤークシャ~大地を取り戻した大猪~ まとめ
猪というと【猪突猛進】単純で一直線というイメージがありますが、このヴィシュヌは純粋な猪だったり、猪の頭を持つ男の姿で表現されました。
大地を水から引き上げたということで、創造神話の一翼も担っているとされています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。