少し前に『オルトロスの犬』というドラマがありました。
滝沢秀明と錦戸亮という人気者のダブル主演だったので覚えてらっしゃる方も多いと思います。
悪魔と天使、2つの顔を持つ男たちのサスペンスドラマでした。
今回は【オルトロス】を紹介しましょう。
オルトロスとは?
オルトロスは頭を2つ持つ【双頭の犬】です。
オルトロスとは別にオルトスという名も持っていて、オルトロス=速い、オルトス=まっすぐという意味があるそうです。
ドラマ『オルトロスの犬』はこの二面性を表していたのかも知れませんね。
ギリシャ神話の初期にティターン族とゼウスを中心とするオリンポス神族との戦いがあったことはご存じだと思いますが、ティターン族は数々の怪物を生み出しました。
中でも有名なのがテュポーンという大蛇です。
この大蛇が毒を持つ蛇エキドナと交わって生まれたのがオルトロスなのです。
兄弟には冥府の番犬ケルベロスがいます。
この両親の子どもですから、オルトロスが平凡な怪物(というのもおかしいのですが)だったわけはありません。
二つ名の通り、猪突猛進、短気でせっかちという記載があります。
二つの頭を持つ恐ろしい姿に人間達は脅えていたそうです。
そんなオルトロスには役目がありました。
ゲリュオンという3つの頭を持つ、3つの体の怪物がいたのですが、彼の牛を守る番犬だったのです。
世にも恐ろしい双頭の犬が牛を守っていたというのもおもしろいですね。
ちなみに、ゲリュオンはエキドナの兄弟だったそうですから、オルトロスにとっては叔父ということになります。
叔父の言いつけで、牛を守る双頭の犬…意外とかわいらしいようにも思えてきませんか?
ヘラクレスに倒される
ギリシャ神話に英雄は数々登場しますが、ヘラクレスほど知られたキャラクターはいないでしょう。
筆者のイメージは【脳みそ筋肉男】なのですが、直情径行、腕力でものを解決し、暴れ、喰らい、飲み、愛し、倒し…バカな男と愛される反面、こんな単細胞近づきたくないと思う人も多いと思われます。
ゼウスの愛人の子だったヘラクレスは例によってゼウスの正妻ヘラの嫉妬から、試練を受けることになります。
自分が座るはずだった王座に座る男から、ゲリュオンの牛を奪うように命じられたのでした。
やってきたヘラクレスを見とがめたオルトロスは彼に襲いかかります。
テュポーンとエキドナの血を引くオルトロスはただの犬ではありません。
きっと猛猛しく、一直線にゼウスの息子に飛びかかったことでしょう。
ところが、相手が悪かったのです。
ギリシャ神話随一の肉体派、頭を使うより手の方が早い-というわけで、愛用の棍棒を振り上げたヘラクレスに一撃され、オルトロスは死んでしまったのでした。
オルトロスと共に牛を守っていた牛飼いエウリュティーオンも倒され、ヘラクレスは意気揚々と牛を奪っていったのでした。
ヘラクレス、やり過ぎ…と思ったのは筆者だけでしょうか?
オルトロス~ゲリュオンの牛を守る双頭の番犬~ まとめ
名前がカッコイイわりに、目立ったエピソードの少ないオルトロス。
唯一のエピソードがヘラクレスに倒されるというのでは、あまりにも可哀相な気がしますね。
ドラマ『オルトロスの犬』は本編のオルトロスとはほとんど関係のないストーリーでしたが、少しは知名度が上がったとしたら、本物のオルトロスも少しは報われたかも知れません。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。