またまた言いにくい名前が登場しました。
しかも知名度もあまり高くないキャラクターです。
でも、このヴァフスルーズニルは意外とおもしろい役割を果たした巨人なんですよ。
ヴァフスルーズニル
種族: 巨人族
地域: ヨトゥンヘイム
巨人族の一人で、巨人の国ヨトゥンヘイムに住んでいたということ以外のデータはありません。
どんな姿だったのか、性格もはっきりしませんが、オーディンとのやりとりで少しは見当が付くかも知れません。
ある本には大きな牡鹿に乗っていたと書いてあります。
オーディンとの知恵比べ
アースガルドの主にして、アース親族の頂点に立つ最高神オーディン。
予言されたラグナログに備えて、世界中の知恵を集めようとしていました。
当然のことながら彼は【知恵者】と呼ばれる人々を訪ね回りました。
ヴァフスルーズニルは豊富な知識を持った巨人で、老人ではありますが、知識量は豊富でオーディンが嫉妬するほどだったそうです。
オーディンは人間の旅人を装って世界を巡っていました。
目的は知恵の収集です。
ガグンラーズという偽名でヴァフスルーズニルの元を訪れたオーディンは知恵比べを持ちかけました。
知恵が欲しいのに知恵比べをするのは、相手の知恵の深さを測るためだったのでしょう。
でも、そんな暇があったら、さっさと知恵を仰いだほうが良いんじゃないかと思いませんか?
巨人族の中でも、博識で評判のヴァフスルーズニル。
しかし、目の前の旅人がオーディンの変装した姿とは全く気がつかず、自分の知恵に奢ったのか、「お前さんの知識が私より劣っていたら、生きてこの屋敷からは出さないぞ」と脅したのです。
あるいは問答に答えられなかったら、首を刎ねると言ったと書いてある本もあるそうです。
こうやって二人の知恵比べが始まりました。
最初はヴァフスルーズニルがオーディンに問答を仕掛けました。
オーディンがあっさりと答えると、今度はオーディンの番です。
こうやって交代で問題を出し、相手が答えるという方法で問答は何時間も続きました。
問いかける内容は世界の仕組み、地名に関する基礎的な問題などでしたが、次々と正解を出す人間の旅人に対して、老巨人は驚きました。
お互いに17問目を回答し終わったところで、オーディンの番になったのです。
ここでオーディンは「最高神オーディンは、息子のバルドルが殺される時、何と言ったか」と尋ねました。
これは予言と言うべきで(バルドルはまだ健在ですから)答えはオーディン本人しか知りようがありません。
「誰も知らぬことをなぜ尋ねる?」不審に思った老巨人はじっくりと相手を見つめ、初めてこの旅人がアースガルドの主オーディンであることを悟ったと言います。
最高神には勝てないと、ヴァフスルーズニルは自分の負けを認めました。
一説には、オーディンがミーミルの泉の水を飲むためにはどうしたらよいか、とヴァフスルーズニルに尋ね、「問答に勝ったら教えてやろう」と老巨人が言ったので、知恵比べが始まったとも言います。
いずれにしても、この知恵比べのあと、ヴァフスルーズニルはどこへ行って、どうなったのかは語られてはいません。
ヴァフスルーズニル~知恵比べに負けて姿を消した知恵の巨人~ まとめ
ヴァフスルーズニルって「結局はオーディンを持ち上げるためのキャラじゃないか」と思ってしまいそうですね。
何のために登場したのか不明なキャラは彼だけではなく、北欧神話にはごまんといます。
ほんの少しのエピソードだけが残っているというところが、人間に通じるものがあるような気もするのです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。