ラビリンスというのは日本語の迷宮も含めると様々なメディアに登場しますね。
ゲームや小説、映画、漫画などなど。
迷宮という言葉には、人を引き付ける魔力のようなものがあるのかも知れませんね。
今回はギリシャ神話のラビリンスを紹介します。
クレタ島の闇
もともとラビリンスというのはクレタ島に作られた【一度入ったら二度と出ることができない迷宮】でしかも【その奥には怪物=ミノタウロスが住んでいて迷い込んだ人間を餌食にしてしまう】と言われていた恐ろしい場所でした。
ミノタウロスについては別章で紹介しましたが、クレタ王ミノースの妻パーシパエーがポセイドンの魔術により、雄牛に恋したあげく、交わって産んだ頭が牛で体が人間の怪物のことです。
ミノースは妻の不始末を知られることを恐れ、名工ダイダロスに命じてラビリンスを造らせたのでした。
クレタ島の住民達が近づくことのないよう厳重に警戒していたことでしょう。
住民達もうすうすは知っていたでしょうが、本当のことを知らされるまま、ラビリンスを遠巻きにして眺めていたように思われます。
闇のラビリンスは同時にミノースの心の闇を表現していたのかも知れません。
ラビリンス崩壊
怪物ミノタウロスのためだけに作られたラビリンスですが、主であるミノタウロスの死と共に役目を終えることになります。
アテナイの王子テセウスは、自分の出自を証明するためにミノタウロスを退治することを命じられました。
単純に考えると、他国の王子が自国の王妃の息子を倒す(殺す)というのは侵略行為に等しい行動なのですが、相手は怪物であり、アテナイの少年少女が何人も生け贄としてクレタ島に連れて行かれたということを考えると、テセウスは倒すことに何もためらいはなかったのでしょう。
またミノースにとっても、パーシパエーの馬鹿げた行動の結果であるミノタウロスが消えることは万万歳だったと思われます。
何と言っても、パーシパエーが雄牛に欲情した原因は自分がポセイドンを怒らせたためだったのですから。
テセウスは仲間共に、ミノタウロスへの生け贄の一人としてクレタ島に来ます。
仲間と共にラビリンスに突入する予定だったのですが、何分にもラビリンスの中がわからなければ、どんな勇猛な青年でも勝ち目はありません。
ここに登場したのがミノースの娘アリアドネーでした。
異国のハンサムな王子テセウスに恋した少女は彼に糸を贈ります。
これを解きながらラビリンスを歩けば、帰り道に迷うことはない-と。
この“アリアドネーの糸”というのも小説などの題材になりますね。
筆者はミステリー小説のタイトルで見たことがあります。
元々勇猛な戦士でもあったテセウスは死闘の末、ミノタウロスを倒すことに成功しました。
そして少女が贈ってくれた糸をたどり、無事に脱出したのです。
これでラビリンスは空き家となりました。
犯罪者などの牢屋に再利用すればいいのに…などとも思いますが、人間を喰らう怪物が住んでいた場所に人間を送り込むことはさすがのミノースもしなかったようです。
よく言われるように、住む者がいなくなった家は徐々に傷んで崩れ果ててゆくように、ラビリンスも廃屋と化していったのでしょう。
同時に、クレタ島の闇も消えていったのではないかと思われます。
ミノースの娘アリアドネーとテセウスの関係もなかなか複雑なものがありますが、別の機会に…。
ラビリンス~二度と出ることができない迷宮とアリアドネーの糸~ まとめ
ラビリンスと言うと筆者が思い出すのは往年の人気グループTMネットワークの『キャロル』歌と舞台がミックスしたPVの一種でしたが、その中の『CHASE in LABYRINTH』には「やみの ラビリンス」という歌詞があって、異世界(ラビリンス?)に迷い込んだヒロインキャロルが世界を救うために3人の仲間(言うまでもなくTMネットワークメンバー)と戦うという内容でした。
一度入ったら二度と出られない迷宮、その奥に潜む怪物、おまけに人質がいるという設定なら、ゲームとしても申し分なしですよね。
人気グループがPVとして選んだのもなるほどと納得できます。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。