ヘルモーズという名前を知っていますか?
北欧神話の最高神オーディンの息子なのですが、母親はフリッグではありません。
この名前は初めて聞いたという人も多いかと思います。
実は彼はエピソードがほとんどありません。
たった一つのエピソードのために彼を登場させたのではないかと思います。
バルドルを生き返らせるため冥界へ
種族: アース神族
地域: アースガルズ
オーディンの息子ですからアース親族で、住んでいるところは当然アースガルドです。
ヘルモーズはオーディンの息子で、またの名を【俊敏のヘルモーズ】と言いましたが、すばしこかったからです。
名前は【勇気】【戦い】を意味していましたが、【光の貴公子】バルドルと比べると、体育会系男子だったのがわかりますね。
さてそのバルドルがロキの悪巧みのせいで命を落としたとき、母のフリッグは泣き叫び、何とかして愛息子を生き返らせようとしました。
ここら辺の展開はギリシャ神話のオルフェイスとよく似ていますが、フリッグは冥界の女王ヘルにバルドルを蘇らせて欲しいと願いに行く使者を捜したのです。
なんで母の自分が行かないんだ-と思うのですが、アースガルドの女王はイロイロと忙しかったのでしょう。
義母フリッグの訴えに応じたのが、ヘルモーズでした。
彼は父オーディンの愛馬スレイプニルを借り、冥界の女王が支配する死者の国ニヴルヘルへ旅立ったのでした。
北欧神話のよると世界は9つに分かれていて、その9の世界を貫く世界樹ユグドラシルという樹が存在すると言われていました。
ニヴルヘルはそのユグドラシルの根の先にあるとされ、生者が簡単に行ける場所ではありませんでした。
オルフェイスの例を引くまでもなく、生者が死者の国に行くと言うことは、死を意味しますから。
しかし、オーディンの愛馬スレイプニルなら生者でも死者の国に行くことが出来ました。
ヘルモーズは無事にニヴルヘルにたどり着いたのです。
ヘルに面会したヘルモーズはフリッグの願いを訴えました。
ヘルは「この世界の全てのものがバルドルのために涙を流したら、彼を蘇らせてあげよう」という条件を出したのです。
光の貴公子バルドルは、神々を始めあらゆるものに愛されていました。
たやすいと思ったヘルモーズはヘルの条件を受け入れ、神々と一緒に世界中を巡り、バルドルのために泣いてくれるよう頼んだのでした。
ところがたった一人セックという魔女だけが泣くことを拒否したのです。
そのせいでバルドルの復活は成りませんでした。
死者の国にまで行ったヘルモーズのせっかくの努力も役に立たなかったのです。
魔女セックはロキが変身したものでした。
ロキはあくまでもバルドルの復活を邪魔したのです。
エンタメのヘルモーズ
エンターテインメント作品に登場するヘルモーズを紹介します。
神獄のヴァルハラゲート
アプリゲーム『神獄のヴァルハラゲート』では、ヘルモーズが冥界へ向かうとき、オーディンの愛馬スレイプニルに乗って駆けたというエピソードからスレイプニルに乗った姿で描かれています。
「待っていろ!必ず救い出してみせる!」という台詞にみられるようにまさにバルドルを救出に行くときを表しているのでしょう。
このヘルモーズは、SSRというレア度の高いキャラクターとなっており、スレイプニルによる連撃スキルを持つ優秀な戦士です。
FOW(フォースオブウィル)
カードゲーム『FOW(フォースオブウィル)』では闇の属性を持つキャラクターとなっていますが、冥界を訪れた神話をフィーチャーしたものでしょう。
銀河英雄伝説
また、田中芳樹の『銀河英雄伝説』(アニメ版)の戦艦にヘルモーズという名前が付いたものがあります。
ヘルモーズ~使者となり冥界ニヴルヘルへ旅立った俊敏の神~ まとめ
唯一のエピソードが【異母兄弟を復活させるために冥界に行った】というヘルモーズ。
そして彼はバルドル復活に失敗した後、神話から姿を消してしまいますが、案外ラグナログを生き延びて、新しい世界でバルドルやヘズと仲良く暮らしたのではないか…とも思うのです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。