オリンポス12神の一人でありながら、《美しい》という形容詞がつかない唯一の神でしょう。
ゼウスとヘラの子どもとも、夫の浮気に腹を立てたヘラが一人で産んだ子どもとも言われています。
手が器用で様々な発明品を作り、結果的に人々の生活の手助けをしてくれました。
天秤座
ヘパイストスと関係がありますが、理由はヘパイストスが天秤を作ったから…
ではなく、妻である愛と美の女神アフロディーテがこの星座の守護星である金星を司っているからと言われています。
妻のおかげなんですね。
不遇だけど鍛冶の腕前は一級品
ヘパイストスは誕生の時から《ついてない》神でした。
生みの母であるヘラは一目見るなり
「私がこんな醜い子を産んだなんて、信じられない!」
とばかり、生まれたばかりの首もすわらない赤子=ヘパイストスをオリンポス山から投げ捨ててしまったのです。
いくら不死の神とは言え、ひどい扱いです。
一説によるとオリンポス山から海に墜ちたヘパイストスは海の女神テティスに救われ、鍛冶の技術を学びながら職人として優れた腕を身につけていったようです。
しかし、その間、彼の胸中には母親なのに、息子である自分にひどい仕打ちをしたヘラへの復讐の気持ちだったと思われます。
機が熟したと見たヘパイストスはオリンポスの神殿へ上がり、ヘラに豪華な黄金の椅子をプレゼントしたそうです。
自分の行いを恥じていたのか、いないのか、見事な贈り物に大喜びのヘラはいそいそと椅子に腰掛けました。
するとヘパイストスが前もって仕掛けておいた罠にかかり、目には見えない足かせに捕らわれ、ヘラは動くことも立つこともできなくなったのです。
ゼウスが仲介し、ヘラはさすがに自分の行為を謝ったそうです。
ヘパイストスは母親を許し、改めてオリンポス12神の一人として迎えられることになりました。
また、一目ほれしたアフロディーテを妻にすることを約束させて、ヘラを解放したとも言います。
そういう背景がないと、ヘパイストスとアフロディーテが夫婦というのも、不自然だったのでしょう。
オリンポスに入ったヘパイストスは持ち前の技術で、神々の住まいである神殿や女神アテナのアイギスの盾などを作りあげました。
さらには最初の人間の女であるパンドラを作ったのも彼と言われています。
ヘパイストスは神々が一目置くほどの鍛冶の腕前を持っていたのです。
しかしヘラによって投げ捨てられたときのケガが原因なのか、足が不自由で容姿がイマイチなヘパイストスはないがしろな扱いをされることが多かったようです。
望んで手に入れた妻アフロディーテは、結婚してもおおっぴらに神々や人間との浮気を続けていました。
耐えられなくなったヘパイストスがベッドにいるアフロディーテと愛人のアレスを縛り上げ、笑い者にしたエピソードは有名ですね。
また、両親であるゼウスとヘラがケンカしているので止めに入ると、またまたオリンポス山から放り投げられるなど、神話における彼はとばっちりを受け続け、ついてない不運の連続でした。
これほどヘパイストスが冷遇されたのは、古代ギリシャでは職人の身分が低かったためではないかと思われますが、職人が多いアテナイ(アテネ)では彼は鍛冶の神様として厚く信仰されていました。
現在にも残るヘパイストス神殿には数多くの職人が工房を作り、ヘパイストスを祭る聖火リレーも行われたそうです。
ヘパイストス~アイギスの盾、黄金の椅子、鎖の網を作る鍛冶の神~ まとめ
ヘパイストスとアフロディーテは美女と野獣さながらのカップルだったような気がします。
しかし、妻に浮気されてもヘラのような恐ろしい復讐をヘパイストスはしませんでした。
ヘパイストスは不器用なりに妻を愛していたのでしょう。
そして他の男と情事にふけりながらも、結局はヘパイストスの下に戻ってきたアフロディーテ。
男としては愛せないが、気を遣わなくて済む友人以上のレベルでアフロディーテもヘパイストスとの生活を楽しんでいたのではないかと思うのです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。