ナラシンハは別名ヌリシンハとも呼ばれ、度々ゲームなどのエンタメに登場しています。
『ゲゲゲの鬼太郎』に登場しそうな名前の【ヌリシンハ】ちょっとおもしろい響きの名前ですよね。
しかし、妖怪ではなく、インド神話最高神ヴィシュヌの化身のひとつです。
ナラシンハとは?
インド神話で最高神と謳われ、知名度バツグンのヴィシュヌ神は世界が混乱したり、悪魔や魔神に脅かされたりすると、様々な姿に変化して敵を倒し、世界を安定されました。
そのヴィシュヌの第4の化身がナラシンハです。
ナラシンハはライオンの頭が人間の体についている半獣半人の姿をしていました。
その姿になった理由は、ナラシンハの出現が魔神ヒラニヤカシプを倒すためだからと言います。
不死身のヒラニヤカシプ
インドの古い言い伝えをまとめた『ヴィシュヌ・プラーナ』という文献には《ヒラニヤカシプは大変な苦行の末、パワーを増強し、ヴィシュヌと並ぶ重要な神の一人である創造神ブラフマーからは「神にも魔神にも人にも獣にも、どんな武器にも殺されない体」を得た》という記載があるそうです。
実はこのヒラニヤカシプはヴィシュヌの化身ヴァラーハに倒されたヒラニヤークシャは彼の兄弟だったらしく、彼は兄弟の敵討ちとばかり天界に攻め入り、奪い取ったと言うことです。
神々が負けたということですね。
ところが、ヒラニヤカシプの息子プラフラーダが何とヴィシュヌに帰依し、熱心な信者になってしまったのです。
仇敵であるヴィシュヌを自分の息子が熱心に信奉する-ヒラニヤカシプは怒り狂い息子プラフラーダをしかり飛ばしましたが、信仰は薄れませんでした。
息子プラフラーダは「ヴィシュヌ様はどこにでもいらっしゃる」と説きます。
父ヒラニヤカシプは「だったら、ヴィシュヌはこの柱の中にもいるのか、だったら見せてみろ!」と怒鳴りながら柱を蹴り飛ばします。
するとその柱からナラシンハが現れ、ヒラニヤカシプを鋭い爪で八つ裂きにしたのでした。
なぜ半獣半人のナラシンハに変化したのか-ナラシンハは人でも獣でもまして神でもない存在です。
そのため、ヒラニヤカシプを倒すことができたのでした。
このエピソードには後に、ヒラニヤカシプは《昼にも夜にも、建物の中でも外でも殺されない》という条件が加わりました。
そこでヴィシュヌはナラシンハに変化し、昼と夜の間の【夕方に】建物の中でも外でもない【玄関で】ヒラニヤカシプを倒したと言われます。
エンタメ世界のナラシンハ
1998年に発売されたセガサターンのゲームソフト『AZELパンツァードラグーン』最近20周年を記念して、BGM集が出ましたが、このゲームでは敵の一人としてヌリシンハというキャラが登場します。
『パンツァードラグーン』自体はシューティングゲームでしたか、この『AZEL』はPRGでなかなか豪華な声優陣をそろえ、その点でも人気があったようです。
ナラシンハ【ヌリシンハ】~ヒラニヤカシプを倒した半獣~ まとめ
天界を奪い、兄弟の敵を取ったのに、息子は仇敵ヴィシュヌを信仰し、裏切られたという悔しい思いのまま、あっさりヴィシュヌに殺されてしまったヒラニヤカシプ。
可哀相な気もしますね。
人間に対しては何をしたというエピソードもないので、余計そう感じるのかもしれません。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。