北欧神話にはアースガルドの神々を含め、登場人物が多く、「コレ誰?」というキャラがよく登場します。
今回の主役小人族のアンドヴァリもそんなキャラクターの一人ですね。
アンドヴァリ
種族: 小人族
地域: 地底にある滝の近く
前回紹介したブロック・シンドリ兄弟と同じく小人族として、地底に住んでいます。
後ほど紹介するエピソードでおわかりのように、川の近くに家を構えていたようですね。
アンドヴァラナウト
アンドヴァリは財産持ちで、豊富な黄金を持っていたと言われます。
その黄金の素となったのが、財産を増やすという魔法の指輪アンドヴァラナウトです。
彼はこの指輪を大事にしていたのですが、こういう物には目のないロキに奪われてしまったのでした。
珍しい組み合わせですが、最高神オーディンとロキが旅をしていたことがありました。
その時、ロキはふざけて川で鮭を獲っているカワウソに岩をぶつけて殺してしまったのです。
「ムダな殺生をするな」と叱るオーディンにロキは「たいしたことはないさ」と平然としていました。
ところが、ロキが殺したカワウソはオッタルという人間が化けたものだったのです。
ロキに息子を殺されたオッタルの父フレイズマルは怒り心頭に発し、オーディンを縛り上げ(最高神が捕まった!)その釈放と引き換えに莫大な黄金を要求したのです。
身動きできないオーディンは「世界中の黄金を持ってくるように」とロキに命令しました。
最高神が人間に捕まって良いのか?とか、ロキがオーディンの命令に従うのか?というツッコミはこの際無視してくださいね。
オーディンをほったらかしにもしておけないと、ロキは黄金を隠し持っている小人アンドヴァリを探し回ります。
危機を悟ったのか、アンドヴァリは魚に変身して海の中に逃げていました。
しかし、ロキは神々の番人ヘイムダルの祖母ラーンに泣きつき、魔法の網を借りたのです。
この網を投げ入れると、魚のアンドヴァリは簡単に捕まってしまったのでした。
呪われた指輪
網に捕まったアンドヴァリ。
ロキは彼の黄金を奪い尽くし、それだけではなく黄金を生み出す指輪アンドヴァラナウトも奪ったのです。
ロキを恨んだアンドヴァリは、奪われた指輪に向かって呪詛をかけます。
「おまえを手に入れた者全員に必ず破滅が訪れるように」と。
こうして黄金を生む指輪は、手に入れた者へ必ず災いをもたらしてしまう呪いの指輪になってしまったのでした。
エンタメ世界のアンドヴァリ
残念ながらアンドヴァリ自身がゲーム作品などに取り上げられることは少ないようです。
しかし、アンドヴァラナウトはお宝が増えていくアイテムとして登場することが多いそうです。
いかにもゲームにふさわしいアイテムですよね。
白猫プロジェクト
ゲーム『白猫プロジェクト』では、アンドヴァラナウトは魔法の杖として登場します。
指輪のはずが杖や剣として登場するのもゲームの世界ならではですね。
『ニーベルングの指輪』
リヒャルト・ワーグナーの有名な楽劇『ニーベルングの指輪』は人気がありますが、その中にでは、神々の王ヴォータン(オーディン)がもたらす呪われた指輪として描写されます。
『指輪物語』
『ロード・オブ・ド・リング』というタイトルの3部作映画として大ヒットしたJ.R.R.トールキンの『指輪物語』はご存じかと思います。
この中の重要アイテム【世界を支配できる魔力と引き換えに、持つ者に破滅をもたらす】指輪の設定がこのアンドヴァラナウトにヒントを得たものと言われているそうです。
アンドヴァリ~持つ者に破滅をもたらす指輪アンドヴァラナウト~ まとめ
もとはと言えばロキのムダな殺生のせいで起こったオーディン監禁でした。
そのとばっちりを受けたアンドヴァリはさぞ悔しかったことでしょう。
アンドヴァリのその後は不明ですが、ロキを恨み、アースガルドの神々を呪い続けていたのではないかと思われます。
それにしても、またまたオーディンの不甲斐なさがわかるエピソードでしたね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。