芳香剤のような名前のキャラクターですが、意外と重要な人物です。
とは言え、直接的にアースガルドの神々や巨人族との関わりはありません。
北欧神話から派生して有名な歌劇や音楽に関わってきたキャラクターです。
ファフニール
種族: 人間/ドラゴン
地域: ミズガルズ
もともとは人間だったのですが、魔術の力によって黒い竜に変身しました。
しかし、住む場所は人間界=ミッドガルドでした。
ファフニールに関係したアイテムを紹介します。
アンドヴァラナウト
以前紹介したアンドヴァリという小人が持っていた魔法の指輪で、黄金を生み出すと言われていました。
彼はとても大事にしていたのですが、ロキに捕まり、奪われてしまったのです。
その時アンドヴァリは「この指輪を持つ者は必ず破滅するだろう」と呪いをかけました。
その呪いの通り、所有者は次々と身を滅ばしていったのです。
ファフニールとの関わりについては後述します。
エギルの兜
ファフニールが持っていた兜で、これを見た者は給付に震え上がったと言われています。
よほど恐ろしいデザインだったのでしょうか?
ファフニールはこの兜を被り、黄金を溜め込んだ洞窟に人々が寄ってこないようしていたそうです
黄金の魔力に取り憑かれ竜に変身
ロキが気まぐれで殺してしまったオッタルの父フレイズマルへの賠償として、オーディン達は山ほどの黄金と呪いの指輪アンドヴァラナウトを払いました。
フレイズマルはそれで満足したようですが、その息子ファフニールは父親の持つ黄金に目がくらみ、弟のレギンと共謀して父を殺してしまったのです。
その後、レギンをも追放しました。
もちろん黄金を独り占めするためです。
魔法に長けていたファフニールは、自らの身に魔法をかけると黒い竜に変身し、自分の黄金に近寄るものがあれば、火を吐いて威嚇し、追い払ったそうです。
まさに黄金の呪い=アンドヴァラナウトに祟られているような醜悪な姿ですね。
兄弟の争い
竜に化けた兄に追放された弟のレギンは、当然ながら兄への復讐と黄金に対する執着に燃えていました。
彼は人間の王族出身のシグルズという青年を養子に迎えると、武芸を仕込み、ファフニールに対する憎しみを教え込み、有能な戦士に育てて兄の討伐に差し向けたのです。
ファフニールとシグルズはすさまじい闘いを繰り広げましたが、若さ故なのか、シグルズの魔剣グラム(レギンが鍛え直した剣)の一撃がファフニールに炸裂し、黒い竜は倒れました。
黄金をめぐる骨肉の壮絶な兄弟ケンカは、弟レギンの勝利ということになったのです。
ファフニールを倒したことによって、彼が父フレイズマルから奪ったと言う【エギルヒャールム=エギルの兜=恐怖の兜】同時にシグルズの手に渡りました。
このシグルズについては別章の主役となります。
エンタメ世界のファフニール
『ニーベルングの指輪』
ファフニールは、壮大な歌劇として有名なリヒャルト・ワーグナーの戯曲『ニーベルングの指輪』では財宝の番人という設定でして登場します。
やはり、黄金(財宝)とは切っても切れない関係があるのですね。
ファフニールという名前は【抱擁するもの】という意味を持つので、ゲームや小説などでは、北欧神話における強欲で、黄金に取り憑かれたファフニールとは全く違う設定で登場することもあるそうです。
竜の呼称や兵器に、ファフニールの名前が使われるのはそんな解釈のためでしょうか。
また、自分が竜に変身したことから、相手を石にしてしまう能力を持つキャラになることもあるそうです。
エギルの兜をかぶっていることを考えると、最近よく登場する武装化した竜の先駆けとも言えるのかも知れませんね。
真・女神転生
メガテンシリーズでは定番のファルニール。
真・女神転生ではボスとして登場し、その竜の姿からファルニールはドラゴンの名前だと思っていました。
マカラカーンを使って魔法を反射するというのもシグルズが無敵の身体になった話からでしょうか。
しかし、魔法よりも物理攻撃を反射するテトラカーンのほうがしっくりきたかもしれませんね。
ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)
ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)では、レッド、ブルー、グリーンなど様々な種類のドラゴンが登場します。
これらドラゴンは黄金を守っているという設定になっていましたよね。
また、人の言葉を理解し、会話ができる知能があるともされていました。
たしか、D&Dを元にしたテーブルトークRPGのプレイ日記『ロードス島戦記』でもドラゴンは財宝を守る番人という設定だったのを記憶しています。
これも元ネタはファルニールの話からなのかなと感じてしまいますね。
追記:喜多川阿弥
ファフニール~アンドヴァラナウトに取り憑かれた財宝の番人~ まとめ
呪いのせいとは言いながら、竜に身を変えてまで黄金を手放したくなかったファフニールの執念は空恐ろしいですね。
竜になったらどんなに財宝があっても、買物ができるわけではないし、黄金を見て楽しむしかないと思うのですが…
それすら考えられないほどの強力な呪いだったということなのでしょうか。
黄金(お金)に関する執念は現代の人間と大して差はないということかも知れませんね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。