バルドルは最高神オーディンの息子です。

神としての血筋の良さもですが、輝くばかりの美貌で頭も良く、しかも性格もすばらしいという完全無欠の貴公子(!)といったところです。

ただし『美人薄命』とはよく言ったもので、バルドルもそのことわざから逃れることはできませんでした。

アースガルドのプリンス、バルドルを今回は紹介します。

 

優美な光の貴公子

バルドル(モンスト)種族: アース神族
地域: ブレイザブリク(アースガルズ)
別名: 光の神、豊穣の神など

バルドルは最高神オーディンとフリッグの間の息子として生まれました。

オーディンの息子ですから、アース神族であり、住むところはアースガルドです。

宮殿はブレイザブリクと言い、【平和の園】と呼ばれていました。

バルドルが住んでいるブレイザブリクに来た者は全て笑顔になって、悲しみも憂いも感じなくなったと言います。

バルドルの別名が【光の神】【豊穣の神】と呼ばれているのも納得ですね。

さて、バルドルの性格は朗らかで、公明正大、頭も良くイケメンという文句なしの【完璧な貴公子】でした。

美貌で才能豊かという点ではギリシャ神話のアポロンを連想させますが、ゼウスの愛人の息子だったアポロンとは違って、バルドルは正妻の子でしたから、血筋から言っても何も不足はありません。

この設定は、少女マンガによくある【王子様キャラ】ですね。

母親フリッグにとっては【目に入れても痛くない自慢の可愛い息子】だったことでしょう。

その思いが高じた彼女は、愛息子を失うことを恐れ「何者もバルドルを傷つけないように」というまじないをかけたのでした。

その祈りが通じ、バルドルは不死になった…はずでした。

しかし、ここで登場するのがアース親族の敵であり味方だったロキ。

バルドルの人気をひがんだロキは計略を使って、オーディンの息子を傷つけられる唯一モノを知ってしまうのです。

それは【ヤドリギ】でした。

それだけなら柔らかい木の枝にバルドルはあっさりと貫かれ、死んでしまったのです。

オーディンを始め、フリッグの悲嘆はすさまじいものでした。

彼を生き返らせようと様々な努力をしたのです。

それについてはおいおい説明しますね。

それにしても、バルドルには妻がいたのですが、フリッグは嫁いびりしなかったのだろうか、なんて邪推してしまいます。

ドラウプニルの腕輪

ドラウプニル戦いの神ではないバルドルは武器は持っていません。

その代わりにアクセサリーを身につけていました。

こういうところも、皇子キャラらしいと思いませんか?

小人族のブロックとシンドリ兄弟が作った【ドラウプニルの腕輪】をバルドルは持っていました。

【滴るもの】という意味のとおり、9夜毎にオリジナルと同じ重さの腕輪が8つこぼれ出たそうです。

亡くなるまで何個の腕輪が溜まったんだろうと思ってしまいますが、きっと他の人にプレゼントしたんでしょうね。

亡くなったときに棺の中にオーディンが供えたそうです。

実はこのドラウプニルの腕輪の名前を商品名としたヨーヨーがあります。

そう、あの子どもの頃に遊んだヨーヨーですが、現在では世界中に広く知られ、バトルやパフォーマンスとしても知られています。

この「ドラウプニル」というヨーヨーは前作「スレイプニル」をさらに進化させたいわばプロ向けの優れた商品ですが、2013年全国大会にて1A優勝を果たした徳渕選手をはじめ、ヨーヨーの全国大会決勝にて5人の選手に選択され、使用されるほどの高性能機種です。

こういったところでもギリシャではなく北欧神話に登場する人物や道具の名前を用いることで、高級感とオシャレ感を出すということは今に始まったわけではありません。

ミステルティン

バルドルにとって不倶戴天の敵とも言える【ミステルティン】はヴァルハラ宮殿の周辺に生えていたヤドリギの若木です。

これからロキは矢を作り出したのですが、不死になったバルドルを唯一殺せる矢だったのです。

フリングホルニ

バルドルは外の世界にも興味があったようで【フリングホルニ】という船を持っていました。

これは世界一の大きさだったそうです。

バルドルが非業の死を遂げたとき、神々は彼をフリングホルニで船葬にしようとしたのですが、船があまりにも重いので海へ流し出すことができなくなり、女巨人ヒュロッキンの力を借りたと言います。

 

バルドルの一生 ~不死身の身体~

バルドル(神姫プロジェクト)
バルドル(神姫プロジェクト)

前述したように、光の神バルドルは、最高神オーディンとその妻フリッグの自慢の息子で、その立場にふさわしい輝くばかりの美貌と、知識、そして明朗で公正な性格という非の打ち所ない神でした。

アースガルドの神々からは慕われ、愛されたバルドル。

バルドルという名自体に【主人】【首領】という意味があるので、確実にオーディンの後継者と見なされていました。

ブレイザプリクはバルドルが妻ナンナとともに暮らす館でしたが、邪悪な者が絶対に近づけない場所で、病気や怪我を癒す清浄な力に満ちた場所でした。

光の神にふさわしい明るく清らかな場所だったのです。

他の者の憂いを癒すバルドルですが、自身の不安は癒せなかったようで、一説によると彼は自分自身の死を予知する夢を見たと言います。

不安に脅える息子を救おうとしたのが母親のフリッグでした。

フリッグは世界中を巡り、全ての生物や物質、毒や病気にまでも「バルドルを傷つけることはしない」と約束させたのです。

母親の強い思いのおかげで、バルドルは【この世の中の何を使っても絶対傷つけられない体】になったのでした。

バルドルが不死身になったという知らせで神々は大喜びしました。

やはり美しく明るい若者は大勢が愛しく大切に思うのでしょう。

ほっとした反動か、神々は「じゃあ、本当に不死になったのか確認しよう」とゲームを始めました。

つまり、いろんな物をバルドルに投げつけてみたのです。

フリッグとの契約がありますから、投げつけられた物-石とか刀とか-は全部バルドルを避けていきます。

その様子に神々は大喜びし、バルドル本人も笑顔で楽しんでいたと言います。

平和の園での他愛ないゲームに興じるバルドルと神々たち…しかし、『好事魔多し』という言葉の通り、この賑やかな空気を妬ましく思う存在がいたのです。

それがひねくれものの邪神ロキでした。

 

バルドルの一生 ~思いがけない死~

バルドル(神々の悪戯)
バルドル・フリングホルニ(神々の悪戯)

ロキは魔法使いの老婆に変身し、フリッグの元を訪ねます。

フリッグも最高神の妻ですから魔力はあると思うのですが、ロキの変身というのはわからなかったんですね。

「バルドル様は本当にどんな物でも傷つけられないのですか?」

フリッグは「ええ、世界中のあらゆるものから訳作を取り付けたの。でも、一つ忘れてしまったのよ。ミステルティンの若木だけはその時まだとても小さくて弱いから約束しなかった」としゃべってしまったのです。

大事なことを正体不明の他人にばらすなよ!

とツッコミ入れた人は筆者だけではないと思います、はい。

フリッグからこの話を聞き出したロキは、バルドルの弟ヘズを利用しようと考えます。

ヘズは盲目なので、他の神々とは一線を引いた立場だったのです。

ロキは言葉巧みにミステルテインをヘズに渡すと兄バルドルに投げつけさせました。

盲目のヘズが見事バルドルの胸に的中させることができたのは、ロキが魔法を使ったからです。

弱々しいミステルティンですが、胸を貫かれたバルドルはばたりと倒れこむと、そのまま息を引き取ってしまったのです。

驚愕し、悲嘆する神々の中で、ただ一人母フリッグだけはバルドルを諦めませんでした。

愛息子を復活させたいと冥界の女王ヘルの元へバルドルの異母弟ヘルモーズを送りこんで歎願させたのです。

ヘルは「世界中の全てのものがバルドルのために泣くなら彼を復活させても良い」と条件を出しました。

アースガルドへ戻ったヘルモーズは全てのものに泣いてくれるよう頼んだのですが、ただ一人セックという魔女が泣かなかったので、バルドルを復活させることはできませんでした。

このセックがロキの変身というのは言うまでもありません。

よほど、ロキはバルドルが気に障る存在だったようですね。

バルドルの亡骸は【フリングホルニ】で船葬にされましたが、出航前に悲しみのあまり死んでしまった妻ナンナの亡骸も一緒に船上で火葬されました。

朗らかで明るい光の神バルドルの死は神々を絶望させ、やがてラグナロクの到来を招くこととなりました。

神々が死に、全てが滅びたラグナロク-その後の新たな世界でなんとバルドルは復活したのです。

彼の生と死のサイクルが農作物の成長期間と重なるのでバルドルは【豊穣の神】とも呼ばれています。

 

エンタメ作品のバルドル

美貌と知性に溢れ、神々から愛された貴公子バルドルは、戦争好きの集まる北欧神話神には珍しく、平和のイメージがあるためか、エンタメ世界では穏やかな美少年(美青年)いわゆる【王子様キャラ】となるパターンが多いようです。

神々の悪戯

女性向け恋愛ゲーム『神々の悪戯』では、金髪ロングヘアで、温かい癒しのオーラを放つ人気者という設定ですが、何もない所でも転んでしまうという天然な面も持ち合わせたモテ要素のあるキャラです。

女神異聞録デビルサバイバー

ベル・デル

『女神異聞録デビルサバイバー』ではストーリーの中枢に関わる「ベル神」の「ベル・デル」という敵キャラクターとして登場します。

彼に対しては全ての攻撃が効かないのですが、ヤドリギだけがダメージを与えられるという、神話を反映した弱点のある設定になっています。

ベヨネッタ

『ベヨネッタ』というゲームでは、北欧神話と直接の関係はないのですが、新世界の構築を目指す野望や光の剣を飛ばす戦闘スタイルなど、いろいろな所にバルドルを連想させるモチーフが使われています。

バルドルは王子様キャラとしてもちろんですが、美形敵キャラとしても魅力的なのでしょうね、汎用性の高い神様です。

 追記:喜多川阿弥

バルドル~ドラウプニルの腕輪を持つ不死身の貴公子~ まとめ

顔良し、性格良し、血筋良し、悲劇の死も萌えポイント。

既婚者なのが残念、というバルドルは主人公としては出来すぎで動かしにくいキャラですが、補佐役や敵キャラにしたらおもしろいキャラクターだと思います。

でも、男性人気はイマイチでしょうね。

女性人気は高いでしょうが。