ラグナロクの【リーサル・ウエポン】的存在なのがこのスルトです。
接続詞みたいな名前ですが、炎の巨人と呼ばれ、最後の最後にアースガルドに一撃を与えることになる神です。
ムスッペルたちのリーダー
種族: ムスッペル
地域: ムスペルヘイム
別名: ムスッペルの長など
南にあると言う灼熱の国ムスペルヘイムの入り口を守る炎の巨人がスルトです。
炎の巨人、灼熱国=ムスペルヘイムの番人など、外的な記載だけで、行動や言動などはほとんどデータがありません。
唯一有名なのが【炎の剣】です。
【スルト】という言葉には【黒い】という意味があるので、スルト自身も黒く(日焼けで?)たくましい肉体を持った巨人だったと言われています。
と言っても、スルトのエピソードは最終戦争ラグナロク以外にはほとんど見かけられません。
ラグナロクのためだけに登場した巨人ではないかとも推理されているようです。
スルトはムスペルヘイムの巨人=ムスッペル達のリーダーとしてラグナログではアースガルドに攻め込み、【炎の剣】を奮って世界を焼き尽くしてしまったのです。
炎の剣
“太陽のようにきらめく剣” とも呼ばれる炎を操る剣です。
もともとは豊穣の神フレイが持っていた宝剣だったのですが、女巨人ゲルダに求愛する時に従者スキールニルに与えました。
それが回り回ってこともあろうにアース親族の敵となる巨人スルトの手に渡ってしまったという説もあるようです。
確かなことは不明ですが、すさまじいパワーを持った剣であることは間違いないようです。
ムスペルヘイムの守護神
この世界の南には、始まりの巨人ユミルが誕生する以前から灼熱の国ムスペルヘイムが存在していたと言われています。
スルトはこのムスペルヘイムと他の世界との境を守る巨人でした。
ムスペルヘイムの巨人たちは炎の巨人=ムスッペルと呼ばれ、スルトはそのリーダーだったのです。
北欧神話での巨人というのは、ユミルが【霜の巨人】と呼ばれていたことから連想されるように、どうしても寒冷地と結びつけてしまいますが、そう考えると炎の巨人スルトはちょっと異質ですね。
ムスッペルたちは、灼熱の国に住んでいますから、その高温に耐えられる強靱な肉体を持っていたはずですね。
そして彼ら独特の戦術でアースガルドの神々を翻弄したと言います。
記載はされていませんが、三国志にある【火牛作戦】みたいなことをしたのかな、と想像します。
ムスッペルの数は多く、色々とアース親族を苦しめたようです。
しかし、名前がわかっているのは、スルトとその妻シンモラだけです。
この二人のムスッペルの名前には【審判の日】【終末の日】という意味があるとそうです。
そして彼らがその名の通り、ラグナロクで9つの世界に終末をもたらし(=破滅させ)てしまったのでした。
スルトの炎
スルトはラグナロクが始まると、炎の剣を手にし、ムスッペルの軍勢を引き連れアースガルドへ侵攻を開始しました。
そして昔はトールの悪友だったのに、今は完全にアースガルドの神々最大の敵となったロキの率いる巨人族と力を合わせて、オーディンが率いるアースガルド軍に挑み掛かり、次々と彼らを倒していったのでした。
スルトに立ちはだかったのは豊穣の神フレイです。
しかし、フレイは宝剣を手放していたため、鹿の角で応戦せざるを得ませんでした。
武器を持たないフレイに、炎の巨人を止めることはできなかったのです。
フレイを倒したスルトは、地上からアースガルドへの唯一の道である虹の橋ビフレストを落とし、なおも神々を追い詰めていくのでした。
アースガルドの神々がヴィーグリーズの野へと移動すると、待ってましたとばかり、スルトは火を放ち、アースガルドも人間の世界であるミッドガルドも全ての世界を炎で覆ってしまったのです。
この混乱の最中、オオカミのスコルとハティがなんと太陽と月を食べてしまい、世界は闇に沈んでしまいました。
しかし、スルトの炎だけは赤々と燃え続けていたと言います。
この炎によって神々も巨人も人間すら死に絶え、世界は破滅を迎えたのでした。
この破滅も予め予言されていたのが北欧神話なのです。
エンタメ世界のスルト
巨人スルトの特徴は何と言っても世界を滅ぼすほどの驚異的な力でしょう。
それはゲームにはもってこいの設定ですよね。
原典にちなんだのか、一筋縄ではいかないボス級のモンスターや神として登場し、プレイヤーに試練を与える敵側のキャラが多いようです。
敵が強大であればあるほど、倒した主人公達の能力が高いということになりますからね。
『女神転生』シリーズ
人気のシリーズでも常連のキャラとして欠かせないスルト。
炎を操る悪魔で、強力な技術や能力を持つキャラです。
真・女神転生にはボスキャラとして登場し、マハラギオン(炎の全体攻撃)という魔法を使う強敵だったのは懐かしい記憶ですね。
女神転生シリーズには、頻繁に登場するスルトですが、炎の剣を持つ異国の巨人という姿はシリーズを通してあまりかわっていません。
体の赤い模様は炎が吹き出ている様子を表しているのでしょうか?
それとも、頭の長いノッポさんなので部族的なテイストで描かれた模様なのでしょうか?
どういう理由かはわかりませんが、メガテンシリーズでのスルトのイメージはみなさんも定着していますよね。
幻獣契約クリプトラクト
様々な幻獣と契約を交わしたユニットでパーティを組んで戦うゲームですが、降臨幻獣としてスルトが登場します。
溶岩や炎で覆われた巨人という設定は、他のエンタメ作品に登場する姿と同様です。
しかし、クリプトラクトでのスルトは炎の剣を持っていません。
毒を無効にし、攻撃と同時に毒を与えるスキルを持っています。
また、ラグナロクで神と戦ったスルトですが、このゲームでは神キラーではなく英雄キラーを持つユニットとなっているのが少し残念なところですね。
追記:喜多川阿弥
スルト~炎の剣で世界を焼き尽くしたラグナロクの最終兵器~ まとめ
【炎の巨人】と聞くと、人間に火を与えてくれたプロメテウスを連想し、良い神なのかなと思ってしまいますが、実は世界を滅ばした恐ろしい神でした。
でも、これは予め決められていたことで、スルトは単にその定めに従っただけということなのでしょう。
スルト自身がわかっていてこの運命を受け入れていたとしたら…炎の巨人に対するイメージも変わってくると思いませんか?
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。