ルーン文字とセットになるのが【ルーン魔術】です。
ルーン文字を使って行われる魔術のことで、元々は北欧に出自を持つと言われています。
オーディンを始めとするアースガルドの神々も行っていたそうです。
北欧神話とルーン魔術
様々な絵などで表現されている北欧神話ですが、その中にはルーン魔術のような魔術が描かれたものも多く存在します。
例えば最高神オーディンですが、彼は死んだ巫女に予言をさせようと考え、まず巫女を蘇らせようとルーン文字を使ったとされています。
また、自分に逆らった戦乙女ヴァルキューレを長い眠り落とすためにも、ルーン魔術を使用したと考えられています。
ちなみにこのヴァルキューレはシグルズとの悲恋で有名なブリュンヒルドではないかと思われます。
オーディン以外の神とルーン魔術について紹介しましょう。
美形神フレイは巨人族の娘ゲルズに一目惚れしたとき、従者スキールニルを使者として求婚したのですが、なかなかうまく行きませんでした。
業を煮やしたスキールニルは彼女に「ルーン文字を体に刻んで呪いをかけてやるぞ」という脅しをかけ、フレイとの結婚を承諾させました。
何というか、女心を無視した無粋なやり方ではありますが、ルーン魔術に対する恐ろしさがわかるエピソードではないでしょうか?
北欧世界とルーン魔術
古代の北欧では、軍神チュールが信仰されていました。
兵士達がチュールのルーン文字を剣に刻んで、軍神チュールの名を2回唱えて勝利を願うと、霊験あらたかで戦いに勝てると考えられていたのです。
またルーン文字を二つ組み合わせて一文字にデザインしたものは【ルーン・ガルドゥル】と呼ばれているそうです。
ガルドゥルには【叫ぶ】【歌を歌う】という意味があり、文字を刻むだけではなく、呪い歌を歌うことによって、さらに魔術の効果がアップすると言われています。
人間の英雄ヘルギを白鳥の姿になって守ろうとしたヴァルキューレも、ルーン・ガルドゥルと思われる呪い歌を歌い、敵兵を倒し、ヘルギを救っています。
また、雷神トールがフルングニルと戦ったとき、額に砥石が刺さったのですが、力自慢の神でさえ抜くことができませんでした。
しかし、一人の巫女を訪ね、彼女が魔法の歌を歌うと取れたのです。
この歌も【ルーン・ガルドゥル】だったと推測されます。
中世アイスランドにも【ルーン・ガルドゥル】が伝えられているのですが、ここではルーン文字を十字架のように並べて効果を高めているそうです。
雪の結晶のような図で表される【アィイスヒャウルムル】というルーン・ガルドゥルがあるのですが、“恋愛では最後の奥義”と呼ばれるほどで、恋する相手を怯えさせたり、恋人の心を射止めたりする強力な効果があると信じられています。
相手を脅して恋人にする…ちょっと危険な雰囲気を感じてしまいますね。
現在のルーン魔術
ルーン魔術は魔法そのものと言うより、ルーン文字を象ったアクセサリーなどとして人気があるようです。
また、ルーン文字は今でも占いに使われるようです。
基本的に24字ですが、占いでは空白を表すウィアドを加えて合計25字で使用するようですね。
ルーン魔術とは まとめ
日常的に見たり、触れることの少ないルーン文字とルーン魔術。
そのミステリアスなところが、北欧神話そのものの持つ神秘性、暗黒性と相まって人気がある理由だと思います。
よくわからないからこそ、ゲームなどでは便利なアイテムとして、色々なところで使用されるのではないかと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。