『エルドラド』という言葉を見ると、一定の年代以上の女性はあるマンガを思い出すのではないでしょうか?
かく言う筆者もその一人です。
そのマンガとは週刊マーガレットに連載されていた『7つの黄金郷』。
黄金郷と書いてエルドラドというルビが振ってありました。
少女テニスマンガの金字塔『エースをねらえ!』で一躍有名になった山本鈴美香の歴史マンガで、非常に惜しいことに30年以上も中断になっている作品です。
何とかして再開して欲しい、と願っているファンも数多くいるはずです。
『7つの黄金郷』はスペインがインカ帝国を征服し、イギリスと対立している16世紀の話ですが、実際のエル・ドラードとはどんなところだったのでしょう。
黄金伝説
エル・ドラードとはスペイン語で【金箔をかぶせた】とか【黄金の人】を意味する南アメリカのアンデス地方の伝説です。
この地方には金脈があり、大航海時代にはヨーロッパの人々が現地民を酷使して採掘させ、本土に持ち帰りました。
それもあって、“アマゾンの奥地には黄金郷=エル・ドラードがある”という噂になったと思われます。
実際には無計画な採掘と時代の変化により、この地方での採掘は現在禁止されているそうです。
黄金に彩られたジャングルの奥地の黄金郷…
エキゾチックな雰囲気にヨーロッパの人々は夢を膨らませたのでしょうが、実際の現地民にとっては理不尽な労働を強いられて地獄だったのではないかと思います。
ヨーロッパの人々にとって、“黄金の産地=財産が手に入る” 場所がエル・ドラードだったのかと思うとちょっとなんだかな…という気分になりますね。
映画の題材
ロマンをそそる素材だからでしょうか、映画のタイトルに使われることも多い『エル・ドラード』または『エル・ドラド』
1966年(昭和41年)にはジョン・ウェインの西部劇タイトルになっています。
もちろん、伝説のエル・ドラードではなく、テキサス州のエル・ドラードと呼ばれているある町が舞台です。
当時の西部劇らしく、町の実力者、苦しめられる一般市民、正義の保安官と奥得保安官が銃を撃ち合い、やがて和解と友情が生まれる-というありきたりではありますが、後味の良い映画です。
アニメも負けてはいません。
2000年(平成12年)には『エル・ドラド/黄金の都』という副題付きのアニメ映画が公開されています。
これは16世紀スペインを舞台にしたアドベンチャーロマンと銘打っていますが、実際のエル・ドラード事情を知ると、ロマンとは言えないですよね。
その他のエル・ドラード
黄金とか、輝くものなどというきらびやかなイメージがあるためでしょうか、お店の名前にも多く見られます。
美容室や宝飾店はうなずけますが、東北には自転車チームの名前として存在しています。
びっくりしたんですが、“太陽のように熱い情熱で、黄金の稲穂輝くこの地で大空に羽ばたくことが目標”という願いで名付けたということでした。
確かに縁起がいい名前とも感じられますからね。
エルドラド~夢と希望の財宝!アンデスの黄金郷伝説~ まとめ
大航海時代、ヨーロッパの人々は可能性を求めて海外へと飛び出しました。
たどり着いた南アメリカのすぐれた文明(インカ帝国、マヤ帝国、アステカ帝国)を彼らは容赦なく破壊し、自分達の価値観や宗教を押しつけました。
しかし、ピサロやコルテスのように一財産築けた人間はほんのわずかでした。
エル・ドラード(黄金郷)を求めてジャングル奥地へ入ったヨーロッパ人は失敗し、命からがら逃げ帰った者の方が多かったでしょう。
欲望を抱いた人間の目には見えない、それが伝説のエル・ドラードではないかと思うのです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。