『アヴァロン』と聞いたら『アーサー王』と連想する人は多いのではないでしょうか?
モンストの爆絶クエストが登場したことで名前は知ってるけど実際アヴァロンってなに?って方も多いのではないでしょうか。
と言うより、ゲーム以外で日本人にとってアーサー王以外にアヴァロンと結びつくものはいないのではないかと思われます。
ランスロット、トリスタンなど円卓の騎士でも有名なアーサー王は、アングロ・サクソン人と呼ばれるヨーロッパからの侵略者と戦い、分裂していたイングランドを統一したと言われています。
亡くなると彼の遺体はアヴァロンの浮島に葬られたそうです。
騎士達の友情に支えられた英雄というイメージの反面、妻ギネヴィアの不倫などアーサー王の評判は振り幅が広いのですが、彼と関わりの深い『アヴァロン』について今回は紹介したいと思います。
アヴァロンの場所
元々アヴァロンとは、『ブリテン列王史』という史書の中にケルト神話上の異界の島として登場します。
ケルト民族はイギリスの古民族ですが、謎の多い民族として興味をかき立てられる人も多く、沢山の研究書などがありますね。
そう言えば少女漫画の『クリスタル・ドラゴン』もケルト神話に基づく長編ドラマですね。
【アヴァロン】という名前の由来ですが、ケルト語の「リンゴ」を意味するもので、アヴァロンは見事なリンゴがたわわに実る楽園であったとも言われています。
架空の場所ですが、最近の研究ではイングランド南西部サマセット州の古都グラストンベリーであるという説が有力となっています。
グラストンベリーは現在人口1万人にも満たない小さな都市ですが、紀元前一世紀にキリストの血を受けた聖杯が持ち込まれた場所とも言われています。
この地で1191年(鎌倉時代初期)にアーサー王と王妃ギネヴィアの遺体が発掘されたというニュースがあり、遺体と共に埋葬されていた十字架には【アヴァロニア】という地名が記されていたそうです。
ちなみに遺体は1276年(鎌倉時代中期)に再び埋葬されたそうです。
アーサー王との関わり
アニメや小説、ゲームではおなじみのアーサー王。
最近は『パシフィック・リム』で注目されたチャーリー・ハナムが主役のアーサー、彼の両親を殺した叔父役に名優ジュード・ロウを配した『キング・アーサー』が公開されましたね。
また、1980年代初期に放映された『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』というアニメもあります。
いまやベテランとなった神谷明が主役アーサー役を務めたということでも知られています。
実はアーサー王については、実在が疑問視されてもいるのです。
と言うのは、彼の名前が登場する前述した『ブリテン列王史』は資料としたものが聞き語りや伝承だったので、はっきりとした根拠がないのです。
他にも『ブリテン人の歴史』にも実在の人物として記載されてはいるのですが、やはりはっきりとした証拠はありません。
英雄物語におけるアーサー王について説明すると、数々の苦難の末に名剣【エクスカリバー】を引き抜き、自分こそ王であることを宣言します。
そして円卓の騎士と呼ばれる8人の騎士達の協力を得て、次々と異国の侵略を退け、あるいは攻め入り、ブリテンの平和に貢献します。
しかし、『好事魔多し』との例えどおり、一番の支えであった騎士達との間にひびが入ってしまうのです。
原因は妻ギネヴィアが騎士の一人ランスロットと恋愛関係に落ちてしまったことでした。
ある説ではアーサー王の出生についても、実の父親(前王)が臣下の妻に恋し、強引に関係したために生まれたとも言われていますから、本人に責任がないとは言え因果応報のような事態がおきたような気がします。
騎士達の間に亀裂が入り、アーサー王は王としてのメンツもあり、今までの信頼する仲間ランスロットと戦うことになります。
出征の間、騎士の一人モルドレッドに国を預けたのですが、このモルドレッドがなかなかのくせ者で、アーサーの留守にギネヴィアを王妃として、自分が王になろうともくろんだのです。
英雄なのに、アーサーって意外と人望がなかったのでは?…と思うのは私だけでしょうか?
そして、ランスロットを倒し国に帰還したアーサー王はモルドレッドと戦う(カムランの戦い)ことになります。
モルドレッドを倒しましたが、アーサーは深手を負い、アヴァロンに運ばれ、三人の湖の乙女に見守られながら亡くなったと言われています。
この湖の乙女というのは、アーサー王物語によると【水の精霊】だったらしく、エクスカリバーをアーサーに渡したり、円卓の騎士の一人ランスロットを養育したとも言われ、アーサー王とは関わりの深い存在でした。
英雄にしては華々しさがなく(アレキサンダー大王やカエサルのような歴史に残る偉業はない)、悲劇性も個人的な範囲(妻に裏切られた)に留まっていて物足りない(言い方はナンですが・笑)「何か残念なブリテン王アーサー」といった感じを受けますね。
様々なゲームやアニメに登場したエクスカリバー
アーサー王が引き抜いたといわれるエクスカリバーという名の剣は様々なゲームやアニメに登場してきました。
ドルアーガの塔
ファミコン世代の私にはエクスカリバーといえば『ドルアーガの塔』です。
『ドルアーガの塔』は、ドルアーガという怪物にさらわれたカイを助けるべく60階にもなる塔に挑むアクションRPGの先駆けともいえるゲームでした。
このゲームでは終盤のドルアーガを倒すために必要なアイテムとして名剣エクスカリバーが登場します。
エクスカリバーは45階で入手できるのですが、とり忘れて先を進んでしまった方も多いのではないでしょうか?
私もその一人でした(笑)
思い出ですねぇ
ドラゴンバスター
ドラゴンバスターも懐かしのゲームのひとつです。
これもアイテムを集めていって強くなってドラゴンを倒し、姫を救うというアクションゲームにRPG要素が盛り込まれたゲームでした。
先を進むと剣の威力が2倍になるスーパーソードというアイテムが必須なのですが、このスーパーソードを3本取ればウルトラスーパーソードというさらに強力な剣になります。
本来の名称が「ウルトラスーパーソード」だったのかはわかりませんが、私たちはこれを「エクスカリバー」と呼んでいました。
でも、よく考えたらドラゴンを倒すのに優れた剣といえば「ドラゴンスレイヤー」ですよね(笑)
Fate/Grand Order
これまで、ドラクエやファイナルファンタジーなどの有名ゲームはもとより、様々なゲームに登場したエクスカリバー。
このエクスカリバーの知名度は衰えることを知りません。
最近人気の「Fate/Grand Order」や「神姫プロジェクト」などにもエクスカリバーは登場します。
英雄の証、そして王の証でもあるエクスカリバーは今でも根強い人気であることがわかります。
また、エクスカリバーは最強の武器または、それに順ずる位置づけの強力な武器である場合が多いのも魅力のひとつではないでしょうか。
アヴァロン~アーサー王とエクスカリバーが眠る場所~ まとめ
上昇気流に乗ったときは、ヨーロッパはもとより、アジアまで乗り込んでいきそうな破竹の勢いを見せたアーサー王ですが、没落が始まるとその死まではかなりの短時間でした。
自分の夫を裏切ったモードレッドに求愛されたギネヴィアは、さすがに拒絶し、キャメロットの城に監禁されていたそうです。
彼女を救い出したのはアーサー王自身ではなくても、彼の手の者だったでしょう。
ギネヴィアの心情はいかなるものだったのか、そしてグラストンベリーに埋葬されているのが本当に二人の遺体だったとしたら、ランスロットとの不倫に走ったギネヴィアと、彼女と並んで眠るアーサー王の気持ちを想像したくなります。
その最期は、最盛期の獅子奮迅の活躍に比べてあまりにもひっそりと寂しかった英雄アーサー。
それでも民衆は異民族から国を守った英雄としてアーサー王を敬愛しました。
遺体が眠っていると言われるアヴァロン(グラストンベリー?)が【パワースポット】として注目を浴びているというのも、英雄アーサー王を慕う気持ちの表れではないかと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。