ニライカナイ~命が生まれ、帰って行く常世の国~

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ニライカナイ(モンスト)

『ニライカナイ』は沖縄や奄美大島などに伝わる理想郷です。

遠い東の海の彼方にあるとも、海底、地底にあるとも言われ、【常世の国】とも呼ばれているそうです。

年の初めには神がニライカナイから訪れ、恵みをもたらし、年末に帰って行くとされています。

また、人間の魂は死者もニライカナイからやって来て、死者となると魂はニライカナイへと再び帰って行くと思われていました。

命の生まれる場所と帰って行く場所

柳田國男人の魂(命)はニライカナイからやって来て、ニライカナイへ帰って行く…いわば人間の誕生と死が同じ場所で営まれているということでしょう。

こんなことから、民俗学者柳田國男は、日本神話にある死者の国【根の国】とニライカナイを同一のものと考えていました。

現在でも沖縄ではニライカナイを信じ、祀る人も多いと聞きます。

人間の生死に深く関わり、生活に不可欠な恵みをもたらしてくれるニライカナイ。

沖縄の文化にとって、ニライカナイの概念は無視できない大切なものなのです。

個人的な考えですが、【海の彼方にあるニライカナイが豊穣をもたらす】という考えは、日本人は渡来人であり、南方から来たのだという説と重なる部分があるのではないかと感じます。

小説における『ニライカナイ』

理想郷、ユートピア、この世以外のすばらしい場所としてのニライカナイは小説などにも登場します。

篠田節子 『ニライカナイ』

強かでしなやかな女性描写に定評のある篠田節子の短編『ニライカナイ』は、自殺しようとした女が【海から来るモノ】を目撃したことで、捨て鉢な人生から手応えのある人生へとチェンジします。

死んでもいいと無気力な生活を送っていた女は、山あり谷ありの生活を送ることになります。

主人公の女にとっては【ニライカナイとは豊穣と幸福をもたらし、還って行く場所】だったと思われます。

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西村京太郎 『幻奇島』

また、今や鉄道トラベルミステリー作家の代表者となった感のある西村京太郎の初期には『幻奇島』という小説があります。

石垣島から遙か彼方の島に一人の医師が赴任してきて…という発端です。

ミステリーらしく、次々と人が死ぬのですが、犯人捜しよりも島の空気がメインになっているように感じます。

ニライカナイを信仰する島民にとって、不慮の死を遂げた仲間は全てニライカナイへと旅立ったと考えました。

恐ろしい殺人犯も…(以下、ネタバレなので省略します)

この有名な作家の他にも、自家出版本などで理想郷=ニライカナイを題材にしている本があるような気がします。

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モンスト『ニライカナイ』

ニライカナイ(モンスト)ニライカナイがゲームに登場しているのにはびっくりしました。

理想郷=ニライカナイを目指して冒険の旅に出発する勇者達の友情物語と思ったのですが、違ったようですね(苦笑)

人気ゲーム『モンスト』に登場するモンスターの一人とは…驚きです。

性質はやはり水属性で【悠久の祈りと魂が還る聖なる海】ということで、沖縄の伝承に忠実な性質のモンスターなんですね。

ストライクショットの「ニヌファブシ」は、「子の方角の星」という意味で北極星を表します。

北極星はいつも同じ場所にあるので、航海の目当てになるといった意味でしょうか。

ストライクショットの名前にまで沖縄方言を取り入れているところがさすがモンストです。

また、【悠久の祈りと魂が還る聖なる海】降臨クエストの中でも最も難しい部類の「爆絶降臨」の中の一つです。

筆者にはちんぷんかんぷんですが、皆さんは説明しなくてもわかってらっしゃるでしょう。

【降臨】で思い出すのは、ラスボスと呼ばれた小林幸子が紅白で初音ミクを歌ったときのこと。

「ラスボス降臨」とネット上ではリアルタイムで大騒ぎになりました。

ゲーム上のニライカナイは、きかん気な少年の姿をしています。

伝承における性質(全てを生み出し、受け入れる)を考えると、ドンと構えたお母さんタイプの気がするのですが、ゲーマーの年齢を考えれば少年のなってしまうのは当然かも知れませんね。

ニライカナイ~命が生まれ、帰って行く常世の国~ まとめ

遠く海の彼方に存在するというニライカナイ。

南の島の住人達は、命はそこから生まれ、魂はそこへ還って行くと信じていました。

どんな生き方をしても、どんな死に方をしても、みんなが同じ場所に還るんだという思いは、苦難の道を生きてきた沖縄の人達の救いでもあったような気がします。

その思いが籠もったニライカナイというモンスターは強敵である爆絶モンスターですから、そう簡単には倒せないと思いますよ。

  • 2017 08.15
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