シヴァ神の妻の一人であるミーナークシー。
彼女の名前には【魚の眼をもつ女神】という由来があるそうです。
元々は南インドのマドゥライという場所で信仰されていた土着の女神だったのですが、やがてヒンドゥー教と合体し、シヴァ神の妻とされました。
ミーナークシーとは
別章でシヴァ神の最初の妻サティを紹介しました。
彼女が焼身自殺を遂げたため、夫のシヴァは怒り狂い、世界を荒廃させてしまいました。
ヴィシュヌ神がサティの遺体を切り刻んだため、シヴァは正気に戻り、サティの遺体は世界中にばらまかれたと言います。
その遺体の置かれた場所では女神信仰が発達し、その女神はサティの生まれ変わりとされました。
つまり、ミーナークシーもサティの生まれ変わりと見なされたので、シヴァの妻となることは運命づけられていたと言って良いでしょう。
魚の眼は閉じることもなく、開きっぱなしです。
そんな魚の眼を不気味と感じる方もいるでしょう。
でも、まばたきできない、常に見開かれているということは、一瞬も物事を見逃さないということです。
ですから、ミーナークシーは眼をそらさずに世界中の人々をずーっと見守ってくれる女神として信仰されているそうです。
もちろん、海の神様でもあります。
ではシヴァとの結婚について紹介します。
サティの生まれ変わりという説と別の説があります。
実はシヴァはサティの死後、パールヴァティという美しく、知性も持ち合わせたすばらしい女神を妻として迎えました。
このパールヴァティもサティの生まれ変わりとされています。
ミーナークシーはパールヴァティの別の顔とも思われているのです。
と言っても、パールヴァティ=サティと言うことですから、ミーナークシー=サティという方程式も成り立つと思われます。
ミーナークシーの誕生と結婚
伝説では南インドのマドゥライ地方にパールヴァティを深く信仰していた王妃がいたそうです。
彼女は残念ながら子どもに恵まれずにいたのですが、ある時、夢に出現したパールヴァティが「私はあなたの娘として乳房を3つ持ってこの世界に誕生します。でも真の伴侶と出会ったとき、3つ目の乳房は消えるでしょう」という預言を残したと言います。
夢のお告げ通り、やがて女の子が生まれました。
それがミーナークシーです。
王妃は大喜びで、大切に育てました。
美しく健やかに成長した彼女は聖なる山でシヴァと出会い、そのとき余分にあった3つ目の乳房が消えたので、ミーナークシーは彼こそ自分の夫になる男性と悟ったそうです。
一説によるとミーナークシーがシヴァと会ったとき、実は彼女は既に人妻だったとも言われています。
しかし、神には勝てないと思ったのか、あっさりと離婚し、その夫はミーナークシーの兄として扱われることになったそうです。
いずれにしても、ミーナークシーの本当の伴侶はシヴァ神と思われているわけですから、その夫と結婚していたときのミーナークシーには3つの乳房があったのでしょう。
ミーナクシー寺院と信仰
マドゥライには17世紀に建てられたミーナクシー寺院があり、毎日1万人もの観光客が訪れる人気のスポットになっているそうです。
日本人にも人気であるそうです。
広大な寺院で最も高い塔は60mもあり、華やかな装飾に彩られた寺院です。
もちろん、敬虔なヒンドゥー教徒にとっては大切な信仰の場所でもあります。
ミーナークシーとともにシヴァ神も祀られており、4~5月にかけて二人の結婚を祝うお祭りが開催されるそうです。
エンタメ世界のミーナークシー
ゲームなどではミーナークシーというキャラの活躍の場はないようです。
この女神の性格的にも戦う側ではなく、癒し系のキャラとして登場しそうですね。
映画 『ムトウ 踊るマハラジャ』
1995年に大ヒットしたインド映画『ムトウ 踊るマハラジャ』をご存じの方も多いのでは?
この映画のヒロイン役の女優はミーナという名前です。
ミーナークシーは“美しい女神”ですから、自分の娘が美しく成長するようにと願いを込めて名付ける親も多いそうです。
この女優の両親も女神ミーナークシーにあやかったのでしょうね。
ミーナークシー~シヴァ第2の妻・魚の眼を持つ女神と信仰~ まとめ
シヴァ神第2の妻ミーナークシー。
観光客が大挙して押し寄せるミーナクシー寺院の様子を見ると彼女に対する信仰の強さに圧倒されます。
シヴァ神の妻として有名なのはパールヴァティですが、彼女よりも控えめなイメージがミーナークシー人気の理由と思われます。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。
「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)
もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。
現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。
マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。