ウラヌス(ウラノス)~夫婦ゲンカが世界を揺るがす原初の神~

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ウラヌス進化(エレスト)

この神は原初の神の一人でありながら、どうも威厳に欠けるイメージがあると思うのは筆者だけでしょうか。

天空の神であり、大地母神ガイアの連れ合いなのに、なぜか【小さいおっさん】と感じてしまうウラヌス。

その理由を分析してみます。

天王星

太陽系惑星の一つである天王星は、その名の通り天空の神=ウラヌスに由来しています。

木星、土星に次ぐ3番目に大きな星です。

ボイジャーなどを始めとして、探査機が調査を続けています。

息子に倒されたティターン神族の長

ウラヌスはギリシア神話の主神である全知全能の神ゼウスの祖父にあたります。

彼はガイアから産まれ、ガイアを娶り(母親との近親婚ですね)、クロノスやオケアノスなどの男女12神と、ひとつ目の怪物キュクロプスを3人、100本の手と50の頭を持つと言われるヘカトンケイルを3人、会わせて18の子どもに恵まれたそうです。

クロノス達12神たちはティターン神族と呼ばれ、身内同士での結婚を続けて、子孫を増やしていきました。

他にいないので、近親婚になるのは当然のなりゆきでしょう。

しかし、キュクロプスとヘカトンケイルたちは奈落=タルタロスに落とされてしまったのです。

理由はいろいろありますが、その外見の異様さにウラノスが忌み嫌ったからとか、彼らがウラヌスに反逆を起こしたからとも言われています。

と言っても、父親でありながら自分の子どもを二度と出られない奈落に追いやったウラヌスの行動に、母ガイアは怒り、夫に対しての憎しみを募らせていったのでした。

その憎しみは夫を排除したいという殺意に変わったのでしょう、鉄鋼でアダマスという大鎌を作り、末子のクロノスに夫への復讐を託したのでした。

ある夜、いつものようにウラヌスはガイアのもとにやって来ました。

父が来るのを待ち伏せしていたクロノスはためらいなくアダマスの大鎌で父親の男根を切り落としてしまったのです。

その時したたり落ちたウラヌスの血と精液から、復讐の女神エリニュスやギガス(巨人。複数形はギガンテス)などが誕生したと言われています。

そして海に投げ捨てられたウラヌスの切り落とされた男根から泡から出て来て、その中から世にも美しい美の女神アフロディーテが産まれたという説もあるのです。

ボッティチェリの『ヴィーナス誕生』では貝に乗っていますが、これはヴィーナス=アフロディーテが海から誕生したということを示しているのです。(アフロディーテはローマ神話のヴィーナス)

アフロディーテは愛欲の神と言われますから、彼女がそこから出て来たのはなんとなくわかる気がします。

さて、去勢されたウラヌスはその後神話からは姿を消しますが、息子クロノスに呪いのような不吉な予言をしていったのです。

曰く「お前が父である私から権力を奪ったように、お前も自分の子どもに権力を奪われるだろう」というものでした。

クロノスは父の予言に苦しめられました。

父親殺しという大それた真似をした割に、小心者だったようです。

そして子どもがうまれるたびに飲みこんでいました。

ガイアと同様、自分の子どもを飲み込まれた妻レアはクロノスに不満と怒りを募らせます。

もちろん、飲み込まれた子どもたち自身も父親に反感を抱いていました。(飲み込まれても、生きていたんでしょうね。不死なる神達ですから)

子どもたちの反感と怒りはやがて父親への反逆という形で表面化しました。

ティターン神族とゼウスを中心としたオリュンポス神の戦い【ティタノマキア】が引き起こされてしまったのです。

ガイアの手助けもあり、結果としてゼウスたちが勝ち、クロノスは負けました。ウラヌスの予言は当たったのです。

ウラヌス(ウラノス)~夫婦ゲンカが世界を揺るがす原初の神~ まとめ

地球の上を覆う大気=ガイアを覆うウラヌスという構図は古代ギリシアから今も変わりません。

そして地球からはるか離れたところに浮かぶ天王星…

それはクロノスに去勢され、神話(ガイア)からフェードアウトしていったウラヌスのようです。

この「妻から追い出された」という形が、筆者の印象の理由だったのかも知れません。

夫婦ゲンカが世界を揺るがす…

ガイアもウラヌスも偉大な神ではありますが、やはり人間くさい、親しみのある神のような気がします。

  • 2017 05.21
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