オニャンコポン

「オニャンコポン」という言葉の響きだけを聞くと、「昔のアイドルグループの名前?」と首をかしげそうになりますね。
じつは、冗談でもなんでもなく、西アフリカに伝わる由緒正しい神様の名前なんです。

名前のインパクトが強烈な、神様について調べてみました。

ゼウスと同列の存在

ギリシャ神話における主神ゼウスは、世界を創造した、天上の至高存在者と考えられています。
オニャンコポンも、西アフリカで信仰される天空神なので、同列の存在なんですね。
アシャンティという民族に伝わる言葉で、「偉大なる者」という意味を持ちます。

日本語に訳すと、いきなり真面目な感じになりますね。
余談ですが、アシャンティの人は、「アカン人」と呼ばれることもあります。

天空神らしく、精霊を創造し、使役していると言われています。
伝説によると、あらゆる自然に精霊は存在し、ときには人に力を貸すこともしてくれます。
精霊との交信を行う司祭が必要で、司祭を介して薬の処方や悪霊への対処などに力を発揮しています。

興味深いことに、精霊と繋がる司祭はいるのに、オニャンコポンを祀る司祭は存在しません。
人と神は、直接的な関係を持つことができないという、アフリカの宗教観によるものだと考えられています。

神話では身近な神だった

オニャンコポン人と神が直接的な関係を持つことができないとされるアフリカの宗教観ですが、アシャンティには、その理由に関係する面白い神話が残っています。
実は、遥か昔の時代は、人間と密接な関係を持ち、言葉を交わすこともできていたというのです。

しかし、ヤムイモを臼でついていた老女が、うっかり杵をオニャンコポンにぶつけてしまうとう事件が起こりました。
杵のダメージが大きかったのか、それ以来、人が到達できない遠い場所へと身を隠してしまいました。

老女は責任を感じたのか、身を隠した場所へ辿りつこうと、多くの人に臼を貸してもらい上へ上へと積み上げました。
ところが、天空に到達するまであと少し!という場所で、臼が1つ足りなくなります。
困った老女は、積み上げた臼の一番下から、1つ抜き取って渡すように下界の人々に頼みます。

それは根本的な解決にならないのでは?と思った通り、積み上げられた臼はバランスを崩し、崩壊してしまいます。
多くの人が死に、結局、人と神様が密接な関係をもった時代は終わってしまったのです。

オニャンコポンを祀る司祭が存在しないのも、人と神様が近かった時代の名残だとも考えられています。
人々は、司祭や神殿を通さず、家に備え付けた祭壇に供物を捧げていました。
現在でも、一部の地域には祭壇を持つ家が存在すると言われています。
ヤムイモだけは、お供えされないかもしれませんね。

同一視される神もいる

「ニャメ」「オドマンコマ」という神様は、オニャンコポンとは、同一の存在だと考えられています。
ギリシャ神話でも、月の女神として有名な「アルテミス」が、「セレネー」「ヘカテー」と呼ばれる女神と同一視されているように、神話の世界ではよくあることですね。

同一視される3柱に関しては、時代や地域によって解釈が異なってきます。
主に、次のような見方がされることが多いようです。

  • 全く同じ存在の神である
  • 三位一体の神である
  • 完全に別々の神である

ちなみに、別々とされる場合は、ニャメは月を司る女神であるのに対して、オニャンコポンは太陽を司る男神とされています。
それぞれ異性の配偶者を持ち、異なる逸話を持っています。
この点も、他の神話の神様に共通するところですね。

エンタメ世界のオニャンコポン

オニャンコポンエンタメ世界の中でオニャンコポンが登場することはほとんどありません。

数少ないオニャンコポン登場のゲームや漫画作品の中では、妙に共通する点があります。
それは、オニャンコポンという名前の響きのせいか、日本のエンタメ世界に登場するオニャンコポンは猫耳のものが多いように思えるのです。
オニャンコポンという可愛らしい響きから女性キャラが多いのも特徴です。
実際にオニャンコポンの像などの写真はあまり見る機会がなく、神話の世界の話のみで、いったいどんな姿をしているのか不明な点が多いことからだと考えられます。

日本においてオニャンコ、もしくはニャメという言葉は猫を連想してしまうのも無理はありませんね。

天空神オニャンコポン~アカン人の宗教における創造神話~ まとめ

名前の響きだけでは、イマイチ偉大さが伝わらない神様ですが、「Onyankopon」という英語表記までも存在する、れっきとした天空神です。

最近では、巨人が進撃してくる某有名マンガでも取りあげられ、日本でも知名度を上げてきました。