この神は北欧神話では最後の最後に大活躍する神ですが、一般的な知名度はイマイチかも知れないですね。

しかし、オーディンを始めとするアース親族や人間界にとっても非常に重要な役目を果たしてくれた神でした。

 

ヴィーザル

ヴィーザル(ヴァルキリーコネクト)種族: アース神族
地域: アースガルズ
別名: ヴィーダル、沈黙の神

最高神オーディンと巨人族の女性グリーズとの間に生まれた息子ヴィーダル。

ヴィーダルと発音されることもあります。

名前は【森】【広い場所】を意味していると言われ、その名の通り柴や背の高い草が生い繁っている森に住んでいます。

父親オーディンが「無口な変わり者の息子」と言うように普段からおとなしく無口で【沈黙の神】とも呼ばれているほどでした。

あのロキが散々悪口を言ったり、からかったりしても、挑発に乗らず沈黙を守っていたと言われています。

オーディンの息子とは言え、光の貴公子バルドルのように華やかなイメージはありません。

人の輪に交じらず、無口でひっそりと片隅にいるような感じの男性といった感じを受けます。

しかし、本当のヴィーザルはアース親族の中で、あの雷神トールに次ぐ強者でした。

『古エッダ』の《ヴァフスルーズニルの言葉》によると、“ヴィーザルは最終戦争ラグナロクにおいて父オーディンを飲みこんだ魔狼フェンリルを殺す者である”と予言されているのです。

彼はアース神族にとっては、最後の頼みの綱だったと言えましょう。

 

ヴィーザルの靴

ヴィーザルとフェンリル
出典:ウィキペディア

アース親族きっての武闘派雷神トールには大槌ミョルニルという優れた武器を持っていましたが、ヴィーザルにはそういう武器はありませんでした。

その代わりに身につけているのが、鋼鉄のように硬い革のサンダルでした。

これは巨人族の母グリーズが息子に与えたもので、特別製だったそうです。

たかがサンダルと言うなかれ、このサンダルはラグナログで大活躍したのです。

最高神オーディンがロキの息子魔狼フェンリルに飲み込まれ、続いてヴィーザルをも餌食にしようと大きく口を開けた瞬間、ヴィーザルは鋼鉄のようなサンダルを履いた足で魔狼フェンリルの下顎を踏みつけ、同時に上顎をつかみ、恐ろしい力で二つに引き裂いたのでした。

『巫女の予言』によると、では引き裂くのではなく、フェンリルののど深く剣を心臓まで突き刺したと言われています。

いずれにしても予言どおり父オーディンの敵討ちを果たしたヴィーザルは、異母弟のヴァーリ達とともに最終戦争を生き延び残り、新たな世界の神となったそうです。

世界を焼き尽くした劫火でさえ、彼を傷つけられることはできなかったという説もあります。

普段はいるかいないかわからないほど存在感は薄いけど、【やるときにはやる】といった神だったのでしょう。

 

エンタメ世界のヴィーザル

ゲーム作品では戦闘能力の高いキャラとして登場するヴィーザル。

彼の唯一の武器とも言えるサンダルは攻撃力アップのためのアイテムになっています。

最高神を飲み込んでしまった魔狼フェンリルという最も凶悪なキャラクターを倒すという強烈なエピソードがあり、サンダルという良いアイテムを持っているというわかりやすい特徴があるヴィーザルはゲーム作品などに取り挙げやすい神と言えると思います。

銀河英雄伝説

ここで興味深いのが銀河英雄伝説にアイゼナッハの旗艦の名前として登場していることです。

アイゼナッハとは、沈黙提督とあだ名される帝国軍人エルンスト・フォン・アイゼナッハのこと。

主役の一人であるラインハルト・フォン・ローエングラムは、この無口ながら期待を裏切らないアイゼナッハを重くとりあげていました。

銀河英雄伝説では、ラインハルトの旗艦ブリュンヒルト、ニュルンベルグやヨーツンハイムなど北欧神話から影響を受けた名前が多いですね。

 追記:喜多川阿弥

 

ヴィーザル~鋼鉄のように硬い靴を持つ雷神トールに次ぐ強者~ まとめ

最後の最後でおいしいところを取っていく神ヴィーザル。

でもなんとなく押しつけがましさが感じられないところが好印象ですね。

話は変わりますが、かなり前ですが“男は黙ってサッポロビール”というCMがありました。

ヴィーザルのことを調べながらそのCMを思いだした筆者でした。

SIYA

最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。

「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)

もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。

現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。

マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。