【ロキ】と付いている名前だけで、何やら不穏なものを感じてしまうのは筆者だけでしょうか?

実はロキと同様巨人族で、ある意味ロキ以上に頭が良く、アースガルドの神々は振り回されたようですよ。

 

ウートガルザ・ロキ

種族: 巨人族
地域: ウートガルズ(ヨトゥンヘイム)
別名: ウートガルズの王など

巨人族の中でも頭脳派として有名です。

巨人の国はヨトゥンヘイムと言い、沢山の都市が集まっていたのですが、ウートガルザ・ロキが治めていたのがウートガルズという町でした。

実はアースガルドでもトップクラスの腕力を誇る雷神トール&邪神ロキの悪友コンビに一泡吹かせたのがこのウートガルザ・ロキだったのです。

 

魔法の猫

魔術にも長けていたウートガルザ・ロキはトール達に幻術を仕掛け翻弄しました。

その一つが巨大な猫だったのです。

外見は猫でしたが、その中身は世界を取り囲むほど巨大な蛇ヨルムンガンド。

さてヨルムンガンドとトールの対決はどうなったでしょう?

ヨルムンガンドを持ち上げようとするトール
ヨルムンガンドを持ち上げようとするトール
Katharine Pyle 作

 

頭脳派巨人が悪友コンビに挑戦

トールとロキ雷神トールと邪神ロキのコンビは旅の途中シャールヴィという人間の少年をお伴に加え、ウートガルズへやって来ました。

最初から力比べをするためにやって来たとも、たまたまやって来たウートガルズで二人の正体を知ったウートガルザ・ロキがわざと挑発したとも言われています。

ウートガルザ・ロキはまずロキには大食い競争を提案します。

【ロギ】というロキと似たり寄ったりの名前の巨人と対決させたのです。

自信満々で大食いに挑んだロキでしたが、もあっさり敗退しました。

またシャールヴィ少年とは【フギ】という巨人とマラソン競争をさせたのです。

すばしこい少年でしたが、やはり彼も負けました。

仲間の敗退を見たトールに出番が回ってくるとウートガルザ・ロキは3件の課題を出しました。

  1. 「この角杯に入った酒を飲み干して空にしてみせろ」
  2. 「わしの魔法の猫を地面から持ち上げてみせろ」
  3. 「この老婆と相撲を取ってみろ」

力自慢のトールは「そんなもの、簡単だ」と受けて立ったのですが、酒は飲んでも飲んでも盃は空にならないし、猫は想像できないほど重く、ほんの少し前足が動いただけでした。

そして老婆も力が強く、トールががっちり組んでも動かなかったのです。

 

ウートガルザ・ロキの目くらまし

力比べの結果に納得できないトール達にウートガルザ・ロキは種明かしを始めます。

実は彼の目くらましによって、トール達は見た目と実体とが全く違うモノと闘っていたのでした。

まずロキが挑戦した大食いの相手【ロギ】の正体は【炎】でした。

炎ですから、物を食べていたわけではなく、実際には焼き尽くしていただけだったのです。

 

少年シャールヴィの相手【フギ】の正体は【思考】ですから、少年がどんなに俊足だったとしても、勝てる相手ではありませんでした。

そしてトールが挑戦した3つの課題の相手も、ウートガルザ・ロキがかけた目くらましだったのです。

盃を満たしていたものは酒ではなく【海】でした。

いくらトールでも海を飲み干せるわけはありませんね。

盃を飲むトール

 

そして前述しましたが、持ち上げようとしていた魔法の猫の正体は9つの世界を取り囲む【大蛇ヨルムンガンド】だったのです。

相撲の相手となった老婆は【老い】でした。

神とは言え自分の【老い】と戦って敵うはずはありません。

老婆と相撲
C.E. Brock 作

全てを告白し、種明かししたウートガルザ・ロキは苦笑いしながら「わしの幻術には自信があったが、おまえ達神々の力にはびっくりした。

特にヨルムンガンドがほんの少し持ち上げられたときには、正直肝を冷やしたぞ」と語ったそうです。

しかし「おまえ達とは2度と会わぬ方がお互いのためだ」と言い残して姿を消してしまったのでした。

 

エンタメ世界のウートガルザ・ロキ

アースガルドの神々を手玉に取ったウートガルザ・ロキは意外と人気のあるキャラクターではないでしょうか?

特にロキを負かした点でも、特別な巨人ではないかと思われます。

 

とある魔術の禁書目録

ウートガルザロキウートガルザ・ロキの名前はゲームなどでは敵キャラとしてもよく登場するのですが、人気ライトノベル『とある魔術の禁書目録』でも敵キャラとして顔を出しています。

原典の北欧神話と同様に、幻術の使い手で【五感の一つが得た情報を他の五感に移す】という力を持ったキャラになっています。

この力とは、例えば、美味しい物を食べた味覚を聴覚に移す-といったような感じでしょうか?

正直、戦う時にどんな役に立つのかちょっと謎な気もしますが…。

そんな、不思議な力を持つという設定やどこか他人を小バカにしたような性格になっているのも、原典の影響が強いからのようですね。

 

ウートガルザ・ロキ~トールとロキにひと泡ふかせた目くらまし~ まとめ

【炎】【思考】【老い】などと抽象的なものと戦わせるウートガルザ・ロキ。

アースガルドの神々であっても敵うはずがない相手です。

神でも勝てない存在がいるというところに改めて【滅びが決まっている神話】の悲しさと暗さが表現されていると感じてしまいます。

ウートガルザ・ロキは北欧神話の本音を具現化した巨人だったのではないかという気もしますね。

SIYA

最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。

「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)

もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。

現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。

マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。