身分の高い人間にはお伴がつきものですね。

光の貴公子ことフレイにもお伴がいました。

それが今回紹介するスキールニルです。

普通高貴な人物の従者と言えば、ひたすら主人に忠実で、命がけでその命令に従うイメージなのですが、北欧神話の従者はちょっと違ったようですよ。

 

スキールニルは不明なことだらけ

種族: 不明
地域: 不明

種族も地域も【不明】なスキールニル。

フレイがもともとヴァン親族だったので、彼もヴァン親族だったのではないかと思われます。

住んでいる場所はアースガルドで、おそらく主人フレイの館の近くだと考えた方が自然ではないでしょうか。

 

交渉は上手だけど謎の多い従者

スキールニルとゲルズ
スキールニルとゲルズ
M. Dorothy Belgrave と Hilda Hart 作

スキールニルはフレイの従者であり同時には幼なじみでもあったそうです。

美形の主人に仕える従者…

女子の興味を引く設定ですが、実は彼の正体は明確ではないのです。

と言うのは、素性を尋ねられた時に「私は妖精の子でもないし、アース神族の子でも、ヴァン神族の子でもない」と回答しているのです。

彼自身も自分が誰の子どもなのかわからないということですね。

でも、スキールニルの容姿は神族や妖精族に近かったと言われているので、ハンサムだったと思われます。

美形の主人と従者…ますます女子が騒ぎそうな設定ですね。

そんなスキールニルが北欧神話に登場するのは、主人フレイの恋の取り持ち役としてでした。

フレイは巨人族の美女ゲルダに一目惚れしてしまったのです。

何とかしてゲルダと結婚したいと熱望したフレイは交渉術に優れ、かつ魔術にも通じているスキールニルを使者として巨人族の国へ使わしたのです。

それは危険な旅でした。

その代償として主人フレイの剣名馬フレイファクシをスキールニルは手に入れたのです。

長い時間をかけてゲルダの元に辿り着いたスキールニル。

即フレイの求婚を伝えると、求婚の約束としてアース親族だけが食べられる【若返りの黄金のリンゴ】を11個、最高神オーディンの黄金の腕輪ドラウプニルなどを差し出しました。

とは言うものの、巨人族とアース親族では種族の違いがありますし、第一会ったこともない男の求婚など受け入れられるはずはありません。

当然ゲルダは拒絶します。

するとスキールニルは【説得から脅迫】に態度を変えます。

「フレイ様の求婚に応じなければ、おまえのその首を切り落としてやるぞ、それでいいのか」とフレイの剣を彼女の首元に擬して脅したのです。

これで、交渉術に長けていると言えるんでしょうかねえ。

逆効果だと思うのですが…。

ゲルダはまたしても断ります。

フレイの望みを叶えなければ…と焦るスキールニルの言葉は次第に口汚く、呪いのように変わっていきます。

魔術にも長けていたスキールニルは、呪いの言葉だけでなく、フレイの剣で無限の災いを意味するルーン文字「スルス(スルス)」を小枝に刻んだのです。

「もしおまえがフレイ様の求婚に応じたら、この呪いの全てを取り消してやろう」この言葉も合わせて脅迫したのですから、さすがのゲルダも根を上げ、フレイとの結婚を承諾したのでした。

上手いやり方とは思えませんが、結果良しというわけで、スキールニルの任務はめでたく完了しました。

ちなみに最初はしぶしぶだった結婚ですが、フレイ自身に会ったゲルダはすぐに心を開き、二人は仲の良い夫婦になったそうです。

 

エンタメでのスキールニル

スキールニル(フルボッコヒーローズ)
スキールニル(フルボッコヒーローズ)

交渉術という目立たないスキルを持つスキールニルが登場するゲーム作品はほとんどありません。

代わりというわけでしょうか、武器や戦艦にはスキールニルという名前がついたものがあるそうです。

目的のためには手段を選ばず(後先考えず)任務を遂行したスキールニルの名前を付けた武器は、どんな敵にも勝ち、困難を切り抜けてくれそうな感じがしますね。

 

スキールニル~謎多きフレイの従者の手段を選ばぬ交渉術~ まとめ

スキールニル(刻のイシュタリア)
スキールニル(刻のイシュタリア)

主人の願いを叶える代償として大切な剣を手に入れたスキールニル。

しかし、その剣はラグナログ開戦時にフレイが手にするべき絶対必要な剣だったのです。

従者が手にして良いものではなかったのです。

スキールニルがラグナログを乗り越えられたのかは不明です。

もし、生き延びていたとしたら、フレイの死を知ったとしたら…

単細胞的な感覚のスキールニルは一体何を感じたのかな?

と想像してしまいます。

SIYA

最後まで読んでくださってありがとうございます。
マイベスト漫画は何と言っても山岸凉子の『日出処の天子』連載初回に心臓わしづかみにされました。

「なんでなんで聖徳太子が、1万円札が、こんな妖しい美少年に!?」などと興奮しつつ毎月雑誌を購入して読みふけりました。
(当時の万札は聖徳太子だったのですよ、念のため)

もともと歴史が好きだったので、興味は日本史からシルクロード、三国志、ヨーロッパ、世界史へと展開。 その流れでギリシャ神話にもドはまりして、本やら漫画を集めたり…それが今に役立ってるのかな?と思ってます。

現在、欠かさず読んでいるのが『龍帥の翼』。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』は有名ですが、劉邦の軍師となった張良が主役の漫画です。 頭が切れるのに、病弱で美形という少女漫画のようなキャラですが、史実ですからね。

マニアックな人間ですが、これからもよろしくお願いします。