竪琴の名手にして、悲劇の主人公。

亡き妻を追って冥界に行ったものの、自分の心の弱さで完全に失ってしまった哀れな夫…

そんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?

今回はオルフェウスについて紹介します。

 

琴座

彼に関係する星座はずばり《こと座》です。

オルフェウスの死後、ゼウスが彼の愛用していた竪琴を天に上げ、星座にしたと言われています。

一等星はベガ。

明るい星で夏の大三角形の一つを成しています。

 

聴くものすべてを魅了した竪琴の名手

オルフェウス(ペルソナ)オルフェウスは、アポロンと、芸術の女神ムーサイのうち詩を司るカリオペの間に産まれたと言われています。

アポロンも芸術の神でしたから、どちらに似ても芸術的センスの持った子どもだったでしょう。

事実、音楽と詩歌の才能にはとても恵まれていました。

中でも一番の得意は竪琴でした。

彼が竪琴をかき鳴らすと、聴く者全てが感動し、泣いたとも言われています。

芸術家ではありましたが、有名な【アルゴー船の冒険】にも彼は参加しています。

イオルコス王子イアソンは自分の王位継承権を認めさせるため、黄金の羊毛を得ようと名の知られた英雄や友人を集めました。

その中にオルフェウスも混ざっていたのです。

長旅を慰めるため、荒波を鎮めるためにオルフェウスは竪琴を奏でました。

また、美しい歌声で船乗りを惑わし、船を難破させるといわれる妖怪セイレーンの存在に仲間達は脅えましたが、アルゴー船がセイレーンの島のそばを通過するときにオルペウスは竪琴を演奏したのです。

するとその妙なる音色にセイレーンは思わず聴き入ってしまい、歌うことを忘れたので、アルゴー船は無事に危険水域を抜けることができたのでした。

オルフェウスの逸話で絶対忘れてならないものが妻エウリュディケのことです。

エウリュディケはニンフ(樹木の精)でしたが、夫婦の中はとても良かったそうです。

しかし、ある日花園で遊んでいたエウリュディケは毒蛇に噛まれて死んでしまいました。

悲しみに沈んでいたオルフェウスは妻を生き返らせてもらおうと冥界へ行ったのです。

冥王神であるハデスの館前には地獄の番犬と言われるケルベロスがいて、近づこうとする者に吠えたてたそうですが、オルフェウスが竪琴を鳴らすとおとなしく寝入ってしまいました。

無事にハデスとその妻ペルセポネの眼前についたオルフェウスは妻への思いを切々と歌い上げたのです。

自分も意に反して冥界に連れて来られたペルセポネは感動して涙を流しながら、ハデスに「エウリュディケを戻してあげて」と訴え、愛妻には弱いハデスもオルフェウスの願いを叶えてやることにしたのです。

「妻を連れて帰っても良い。ただし、地上に戻るまで、絶対に背後を振り返ってはならぬ」という条件を冥王は付けました。

喜んでエウリュディケを連れて戻ろうとするオルフェウス。

しかし、地上への長い長い道のりの途中、本当に妻が後ろにいるのだろうかと強い猜疑心に襲われます。

何度も何度も我慢しましたが、彼は出口を目前にしてついに背後を振り返ってしまったのでした。

約束を破ったことにより、エウリュディケは冥界へと引き戻されました。

狼狽したオルフェウスは再びハデスの館に向かいますが、ケルベロスは二度と言うことを聞こうとせず、冥王夫婦にも会えなかったのです。

つまり、オルフェウスは愛妻エウリュディケに二度と会うことはできなくなったのでした。

絶望を抱えたオルフェウスのその後ですが、自殺したとか、同性に愛を向けたとか、女達に八つ裂きにされたなどと諸説があります。

女達に八つ裂きにされたという話ですが、亡き妻を思う芸術家に恋心を抱いてしまうのは現代でもありそうなことですよね。

オルフェウスもそんな女達にいろいろと恋愛を仕掛けられたらしいです。

しかし、どんなに言い寄られても、絶対としてなびかないオルフェウス。

あまりの頑固さ、非情さに業を煮やした女たちはディオニソスの祭りの夜、酔った勢いで彼を捕まえ八つ裂きにしてしまったというのです。

 

オルフェウス~セイレーンやケルベロスも聴き入る竪琴の名手~ まとめ

『ベルサイユのばら』で有名な池田理代子に『オルフェウスの窓』という作品があります。

池田理代子らしい壮大な人間模様が当時の歴史を背景に描かれています。

オルフェウスとエウリュディケの物語は直接この長編漫画には関係ないのですが、タイトルに使われているので、参考として紹介しました。

それにしても、愛妻を亡くして悲しいなら取り戻せなかったときに自害した方が楽だったのでは?

と思うのですが、神の血を引くオルフェウスは自分で死ぬことはできなかったのでしょうか?

だとしたら、女達による惨殺はオルフェウスにとって幸せな最期だったのかも…

と思います。