魔女の名前として「キルケー」という名前はよく使われるようですね。

『日出処の天子』で有名な山岸凉子に『キルケー』という漫画がありますが、ホラーにかけては第一人者の山岸作品だけあって、とっても怖いです。

 

魔女の出自

キルケー(モンスト)キルケーは太陽神ヘリオスとペルセイス(オケアノスの娘)との間に産まれたと言われます。

イタリアの西のアイアイエ島に住んでいるそうです。

彼女の兄妹はいろいろと個性的な神が多く、コルキス王アイエテス(イアソンが求めた黄金羊毛被の持ち主)は兄にあたり、クレタ王ミノスの妻で牡牛と交わって怪物ミノタウロスを産んだパシパエは妹にあたります。

追加情報として、あのメディアは姪にあたることになります。

この血縁関係を聞くと、どう見ても平穏な人生を送るとは考えられない、ただならぬものを感じてしまいますね。

キルケーには美貌と知性を持ち、さらに強大な魔力も持っていました。

得意なのは毒薬を調合して他者を別の姿に変えることだったと言われています。

 

キルケーに関係する星座=アルゴ座

かつては南の夜空にあったアルゴ座ですが、今はりゅうこつ座、ほ座、とも座の三つの星座に分かれています。

船に関する名前との星座に分かれたということですね。

アルゴ船とキルケーのつながりですが、姪であるメディアが関わっています。

イアソンへの愛を貫くため、実の弟を手にかけたメディアですが、この所行をゼウスが怒り呪いをかけました。

その呪いを解くために叔母キルケーのもとを訪れたというエピソードがあるのです。

ちなみに、ゼウスの呪いは解いてあげたキルケーですが、弟殺しには怒り、メディア達をアイアイエ島から追い出したそうです。

 

英雄たちと魔女

ギリシアにとって大事件であるトロイア戦争。

この戦争については別章で詳しく説明したいと思いますが、キルケーはトロイア戦争後に活躍します。

賢者として名高いイタケ王オデュッセウスはトロイア戦争に勝利し、ギリシアへの帰途、アイアイエ島にたどりつきました。

どんな怪物が潜んでいるかわからないとオデュッセウスは半数の部下22人を副司令官エウリュロコスに預けて、偵察させました。

そこへ登場したのがキルケーです。

彼女は偵察部隊を館に招くと美味しいワインと料理を振る舞い、もてなしました。

美女と上手いご馳走に男たちは良い気分になり、腹一杯に飲み食いしたのです。

ところが、食後偵察部隊一行は、次々と豚の姿に変わってしまいました。

キルケーのご馳走には姿を変える毒薬がたっぷりと混ぜてあったのです。

ただ一人、キルケー館の外で見張りをしていたエウリュロコスはこれを知り、逃げ帰るとオデュッセウスに一部始終を報告します。

オデュッセウスはすぐに仲間の救出に向かいました。

トロイア戦争では神々がギリシア、トロイア側に分かれてそれぞれ味方しましたが、ギリシア側に付いたヘルメスが現れ、オデュッセウスに白い花と黒い根を持つ植物を与えます。

これはキルケーの毒を無効にできるモーリュという薬草でした。

キルケーはオデュッセウスにも毒を入れたご馳走を提供しますが、オデュッセウスには毒が効かず、変身しなかったのです。

動揺するキルケーに「部下達を元の姿に戻せ」と脅すオデュッセウス。

魔術が破られた魔女は素直に従い、オデュッセウスの部下達は豚から人間の姿に戻りました。

オデュッセウスの運の強さと賢明さに感服したキルケーはすっかり同情的になり、毒無しの本物のご馳走でもてなししました。

自分が叶わない相手に素直に降伏する点では、意外とキルケーってかわいいと思いませんか?

さて、危険な場所ではなくなったキルケーの館にオデュッセウスの部下たちは入り浸るようになりました。

主人に負けす劣らず仕える侍女達も美人揃いでした。

また彼女の美貌に魅了されたオデュッセウスも愛欲の日々に溺れるようになります。

結局、一行が故郷への帰還の旅路に戻ったのはなんと1年も後のことでした。

よほど居心地が良かったのでしょうね。

 

キルケー~豚に姿を変える恐ろしい毒薬を使う魔女~ まとめ

魔女とは言え、オデュッセウス達へのもてなしを見るとキルケーの恐ろしさはあまり感じません。

自分の負けを受け入れ、相手に対する礼儀も無くさない魔術に長けた美女。

案外つきあいやすい女性ではないかなと思われます。

オデュッセウスとの間には子どもがいたという説もあるのですが、姪のメディアなら恋人が立ち去るのを許さないだろうと考えると、妻にしたら意外と良い線行くんじゃないかと思うのです。