この人物についての第一印象は「同性の友達、いないな」です。

美人過ぎる女は嫉妬されるから女の友達が少ないとは言われますが、ヘレネの場合は性格が問題。

何でも神様のせいにして済ませるんじゃない!とまず言っておきますね。

 

恵まれすぎた運命を享受するヘレネ

オリンポス王のゼウスはまた例によって美女に心惹かれました。

相手はスパルタ王妃レダ。

彼女には白鳥に化けて接近し、交わったと言います。(ゼウスが化けた白鳥が天に上げられて白鳥座になったと言われています)

レダは妊娠し、卵を二つ産みました。

それぞれの卵から男女が産まれ、レダは四ッ子の母となったのでした。

ただし、男子のうちカストル、女子のうちクリュタイムネストラがスパルタ王テュンダレオスの子で(人間の子)もう一組の男女ポルックスとヘレネはゼウスの子(半人半神)とされています。

男子の二人、カストルとポルックスはとても仲のいい双子でしたが、ポルックスは不死だったのでカストルの死を悲しみ、二人で空へ上り双子座になったと言われています。

男子の双子はうまく行っていたのですが、女子の双子、クリュタイムネストラとヘレネはとても仲の良い姉妹とはいきませんでした。

《恵まれすぎた運命を享受するヘレネ》《理不尽な運命を強いられるクリュタイムネストラ》との落差があまりにもひどすぎるのです。

このあたりは山岸凉子の『黒のヘレネー』がとても鋭く描いていると思います。

幻夢戦記レダ

幻夢戦記レダレダといえば、幻夢戦記レダですよね?

幻夢戦記レダとは、普通の女子高生だった朝霧陽子(あさぎりようこ)が、異世界アシャンティに迷い込んだことから始まるヒロインアニメです。

普通の女子高生だった朝霧陽子は、ここで女神レダの力を受け継ぐ「レダの戦士」として戦うことになるという物語です。

レダの神殿と呼ばれる遺跡は登場しますが、ギリシャ神話とは全く無関係ではありますが、「レダ」という名が記憶に残る作品でした。

 

テュンダレオスの掟とは?

ヘレネー(神撃のバハムート)ゼウスの愛を受けたレダの美貌を受け継いだヘレネには数多くの求婚者が現れました。

あまりにも多いので、これでは下手をすれば刃傷沙汰、ひどくなれば戦争も起こりかねないと懸念した義父のテュンダレオスは求婚者に提案します。

「ヘレネ自身に夫を選ばせるので、その決定を尊重すること。彼女の決定に不満を持ったり、覆そうとする者がいたら、求婚者全員で処罰すること」を全員の前で一人一人に誓わせたのです。

これを《テュンダレオスの掟》と呼びます。

持てすぎるのも大変ですが、これが後々重要な意味を持ってくるのでした。

数多い求婚者達の仲から、ヘレネはミュケナイ王アガメムノンの弟であるメネラオスを選びました。

なぜか、ヘレネがスパルタの後継者になっていたため、メラネオスは入り婿になり、スパルタ王を継いだのです。

ヘレネの姉クリュタイムネストラはメラネオスの兄であるアガメムノンに妻として迎えられました。

こうしてスパルタとミュケナイ王家が二重に結びついたのです。

この時クリュタイムネストラは再婚でした。

しかも前夫を殺したのは従兄弟であったアガメムノンだったのです。

夫を殺した男の妻にされたクリュタイムネストラ、彼女の心がだんだん闇に近づいていっても不思議ではありませんね。

 

パリスの審判

パリスの審判さてメネラオスと結婚したヘレネは娘ヘルミオネにも恵まれて平穏に暮らしていましたが、そこへ登場したのがトロイア王子パリスでした。

若くハンサムな青年に自分の立場を忘れ、ヘレネはいそいそとついて行ってしまったのです。

恋は突然落ちるもの-と言われますが、ヘレネはあまりにもいきなりすぎました。

理由は【パリスの審判】ヘラ、アテナ、アフロディーテの3女神のうちで一番美しいと思う相手の審判を命じられたパリスは世界一の美女欲しさに、アフロディーテを選んだのです。

アフロディーテはヘレネをパリスの相手に選び、彼女の心にパリスへの愛情を燃え立たせ、駆け落ちさせたと言います。

 

戦の元凶、ヘレネ

トロイア戦争さて、美しい愛妻ヘレネを連れ去られたメネラオスは黙って見逃すことはできません。

《テュンダレオスの掟》に従い、ヘレネの求婚者達に号令をかけます。

ヘレネの結婚以来10年以上は経っているはずですが、まだ有効なんですね。

ただし、メラネオスの兄アガメムノンの狙いは違っていました。

計算高いアガメムノンは、妻に逃げられた弟のメンツより、豊かなトロイアの略奪を目的にしていたのです。

それぞれの思惑を秘め、神々もギリシャ側とトロイア側に分かれ応援し、戦いは10年に亘りました。

パリスは途中で戦死し、ヘレネはパリスの弟の妻となりましたが、ギリシア側の勝利により、メラネオスの元に返されます。

敗戦者であるトロイアのヘカベーはメラネオスに「この女こそ、戦の元凶。あなた方にも多数の犠牲者が出たはず。この女をそのままにしておくのは、あなたのためにもなりますまい」と冷ややかに言います。

「もちろん、ただではおかぬ」とメラネオスは答えたのですが、10年ぶりに妻を目の前にするととても処罰などはできなかったのでした。

自分の責任を感じたアフロディーテが、メネラオスの心の奥に眠っていたヘレネへの愛情を呼び覚まし、怒りや憎しみを忘れ去れたためだと言いますが、トロイア側の人間にしたら、とんでもないことですね。

ヘレネはその後幸せに(のうのうと)生き続けたそうです。

しかし、ある説によるとメラネオスはやはりヘレネを許せず手にかけた-という『殺されるヘレネ』というエピソードがあったとも言われています。

 

ヘレネ~トロイア戦争の原因!テュンダレオスの掟とパリスの審判~ まとめ

とにかく同性には嫌われるタイプですね。

自分には責任がないと無邪気に(天然?)行動し、回りの人間(特に異性)にもそれを許容してもらえるタイプ。

ゼウスの娘だから-と我慢していた同性も多かったでしょう。

ここでは詳しく取り上げませんが、姉クリュタイムネストラの不運と違いすぎて、怒りを覚えます。

トロイア戦争の時、クリュタイムネストラの娘イフゲニアが生け贄とされました。

ヘレネのせいなのに、ヘレネの娘ヘルミオネではなく、姪であるイフゲニアが犠牲となったのです。

戦後ヘレネはそれを知ったでしょう。

しかし、自分にも娘がいるのに、娘を殺された姉の痛みを彼女は想像することができたとは思えません。

その鈍感さが筆者にとっては腹立たしく感じられて、どうしても好きになれない女性です。