モンストハデス獣神化ゼウスの兄にして、オリンポス12神の一人のはず…

なのに影の薄い冥王ハデス。

ゼウスを始め、ポセイドンなどがアニメや漫画に取り上げられることはあっても、ハデス主役の漫画は冬木るりか『アリーズ』ぐらいしか思いつかない、何となく存在感のない神です。

しかし、冥王神ということは、人間の最後の場所=冥府=あの世を支配する神であり、ある意味一番人間に関係の深い神とも言えるでしょう。

 

地中深い冥界の王

ハデス冥界=あの世を統べる王ハデス。

死を司るという神ということから、無慈悲で冷淡な神として恐れられていました。

彼は元々ゼウスの兄でしたが、ポセイドンなどの兄妹とともにクロノスに飲み込まれ、ゼウスによって解放されたのです。

ゼウスに協力し、ティターン族と戦いました。

彼の別名はプルートーですが、太陽系第九惑星に登録されていた太陽から最も遠い冥王星は、ハデスのラテン名であるこのプルートーにちなんで名付けられました。

ちなみに、この冥王星は2006年(平成18年)に、太陽系惑星から除外されてしまいました。

こういうこともハデスの不遇さを示しているようで、ちょっとかわいそうな気がしますね。

モンスト

神化ハデス(モンスト)モンスターストライクにおけるハデスは使い勝手に癖のあるモンスターでしたが、「厳粛なる冥界の覇王ハデス」に獣神化したことで、対サムライでトップクラスの適正モンスターとなりました。

また、対サムライ以外でも、艦隊性能がよく、ホーミングの威力とステータスの高さから直殴りにも適した強キャラといえるでしょう。

イラストでは、獣神化ではケルベロスを従え、進化、神化ではサイズを構え、冥界の王と呼ばれるにふさわしい姿で描かれています。

属性はやはり闇属性ですね。

グラブル

グランブルーファンタジーでも闇属性の召喚石として登場します。

モンストが冥界の王という感じのオッサンだったのに対し、こちらのハデスは死を司る悪魔的なイメージで描かれているのが特徴でしょうか。

召喚石ハデス(グラブル)

ペルソナ2 罪

ハーデス(ペルソナ2)これは懐かしいという方もいるのではないでしょうか?

ペルソナ2に登場するキャラクター、三科栄吉(みしな えいきち)の専用ペルソナがハーデスでした。

「マハムド」や「闇の審判」などを操るペルソナとして描かれた姿はまさに冥界の王といった感じです。

イラストはご存知「悪魔絵師」こと金子一馬氏ですが、彼の独特のデザインセンスにはいつも驚かされます。

女神転生シリーズでは他に「デビルチルドレン」や「女神転生外伝ラストバイブル」などにも登場していました。

 

ハデスの兜

ハデスの兜ティターン族との戦いの報賞としてキュクロプスからを授けられた兜。

これを被ると体が透明になって相手から見えなくなると言います。

神話では肝心のハデスが使ったという逸話はなく、ゼウスの息子であるペルセウスメデューサ退治の時に使用したと言われています。

FF4

ハデスの兜は様々なゲームに登場してきたが、人気作品ファイナルファンタジーシリーズに登場したことで知った方も多いのではないでしょうか。

ファイナルファンタジー4ではハデスの兜の他、ハデスの鎧と小手が創作されました。

ハデスの兜といえば身に付けると体が透明になるというものですが、FF4ではこの効果はありませんでした。

しかし、暗黒騎士用の優れた防具として重宝されたことは間違いないですね。

 

冥王星(プルートー)

冥王星ハデスが司るとされる惑星で、太陽系の端っこに位置しています。

前述のように、2006年太陽系惑星から外されてしまいました。

惑星記号にはハデスのラテン名プルートーの最初の二文字である「PL」が使われています。

野球強豪校みたいですね。

※写真はWikipediaより引用

冥王ハーデス

冥王ハーデス『聖闘士星矢』ポセイドン編の後に発表された車田正美氏の作品『聖闘士星矢 冥王ハーデス編』に登場したキャラクター。

ここでのハーデスは、死者を蘇らせて戦わせるという、日本人がイメージする「冥界の王」にありがちな設定となっていました。

アスクレピオスの項で後述しますが、冥界の王とは死者の魂を平等に裁き、冥界の秩序を乱す行為を嫌います。

従って、死者を安直に蘇らせるというような行為はしないはずなのです。

日本の閻魔大王も冷静に裁くことで知られていますが、なぜか漫画やアニメでは「冥界の王は死者を蘇らせる」といったキャラクター設定が多いように思えます。

 

蛇遣い座

オリンポス12神の一人アポロンの息子であるアスクレピオスは、死人を蘇らせるほどの優れた医師でした。

何回も死人の蘇生を行ったので「こんなことをされては、冥界の秩序が乱れる」というハデスの抗議により、ゼウスの雷霆ケラウノスによって撃ち殺されてしまったのです。

しかし、その功績が認められ、天上に送られて星座になりました。

蛇遣いという星座の名前は、彼が持っていた医師のシンボル=蛇杖にちなんでいるそうです。

蛇遣い座(オピュクス)のシャイナ

蛇遣い座のシャイナ車田正美氏作品の『聖闘士星矢』に登場するキャラクター。

星矢の命を狙って幾度となく襲い掛かった刺客です。

同じ女聖闘士であり、ライバルでもある魔鈴とは違って男顔負けの気が強いキャラクターが印象的でした。

毒蛇の牙のような爪で衝撃を与える必殺技サンダークロウを覚えている方も多いのではないでしょうか。

シャイナも女聖闘士の掟を守り、仮面をつけていましたが、なんと星矢に素顔を見られてしまいます。

女聖闘士の掟では、「素顔を見られたら、その相手を殺すか、愛すしかない」ので、シャイナ自身苦しみますが、やがて星矢の優しさに触れると、星矢への愛を自覚していきます。

その後は、ライバルの魔鈴とも女同士の絆を結び、星矢たちのサポートにまわることになりました。

 

冷静な裁き

ハデス老若男女を問わず、どんな人間にも死は平等に訪れるものです。

死後の世界というのは仏教やキリスト教を始め、あらゆる宗教や神話で語られてきましたが、ギリシャ神話の冥界は、太陽の光が届かない地下深くに存在すると思われています。

その冥界で、死者の魂を裁く神がハデスです。

この世とあの世の境目には川が流れていて、カロンという渡し守がいて、銀貨を1枚渡すと向こう岸へと運んでもらえる仕組みになっているそうです。

三途の川の渡し守と同じシステムというのもおもしろいですよね。

冥界の門の前には、ケルベロスという3つの頭と蛇の尻尾を持ち、口から火を吐く怪物がうずくまり、死者が外へ出ないように常時門を見張っていると思われています。

その奥にハデスの館がそびえ立っていて、死者は改めて自分が死んだということを痛感するのだと言います。

古代ギリシャやローマ世界の人々にとってのハデスは、恐ろしい存在でした。

ゼウスなどと違い、人間とのエピソードも無く、ハデスに会うのは自分の死の時だけとなれば、親近感は絶対沸くはずもなく、敬して遠ざけたい存在だったと思います。

人々は死に触れることを忌み嫌っていたので、ハデスを祀る神殿は滅多になく、記録に残るのはエリス地方にたった一つだけです。

※写真はWikipediaより

映画 『ヘラクレス』

ハデス1997年(平成9年)公開されたディズニー映画『ヘラクレス』では、ハデスはゼウスを倒し、オリンポスの支配を目論む悪役として登場し、主人公ヘラクレスと対峙するという展開でした。

この映画の影響で、青い髪に土気色の表情、嫌味でずる賢いハデスを連想する人も多いのでは内でしょうか?

しかし、古代ギリシアでは、ハデスは必ずしも「悪」と考えられていたわけではありません。

それが証拠に彼らは「ゼウスの側には掟があり、地上には法律があり、そしてハデスの側には正義がある」という言葉を残しているのです。

人々は、ハデスは供物などの賄賂に左右されることなく、無慈悲なほど冷静な正義に従い、死者の魂を平等に裁く神と思われていたのです。

 

恋愛下手の冥王

ハデスがどうして冥界を支配することになったのか、理由はティターン族との戦の後にさかのぼります。

勝利したゼウスポセイドン、ハデスの3神は、天空、海、冥界を誰が統治するかを決めるためにくじ引きを行いました。

そして、くじ引きの結果、ハデスは冥界を治めることになったのです。

ハデスが冥界の王であるせいなのか、ゼウスの兄なのにオリュンポス12神に含まれないこともあります。

彼に由来するエピソードも非常に少なく、ひっきりなしに死者がやって来る冥界の仕事が忙しすぎて、オリンポスや地上に出てこられないとも考えられているのです。

また、数多くの恋愛を楽しみ、あちらこちらに子どもを作っているゼウスポセイドンに比べると、恋愛エピソードも数えるほどしかありません。

ただし、そんな彼にもびっくりする恋愛事件があります。

ペルセポネを連れ去るハデスそれがペルセポネという少女を誘拐し、冥界に連れてきた事件でした。

実はこのペルセポネゼウスデメテル(ハデスの姉)の子どもで、ハデスにとっては姪に当たる少女でした。

豊穣の女神である母デメテルの庇護の下美しく成長した少女はある日水仙を摘もうとした途端、地面が割れ、出現したハデスに連れ去られたと言います。

驚いたデメテルゼウスに訴えますが、実はこの誘拐はゼウスの許可があったらしいのです。

仕事熱心のあまり、婚期を逃しそうな兄を心配してお見合い(違いますね)させた弟…といったところでしょうか。

いずれにしても、デメテルが嘆くと地上の穀物が稔らなくなり、人間が大いに苦しんだので、仕方なくゼウスペルセポネを返すよう兄に頼みました。

ところが、その時には少女は既に冥界の食物(ザクロ)を口にしていたので、冥界の住人になってしまったと判断されました。

しかし、食べたザクロの数が少なかったので、1年の内四分の一だけは冥界で、四分の三は地上で暮らせるようになったそうです。

冬になると作物が枯れるのは、愛娘が冥界に行ってしまうので母デメテルが泣くからと言われています。

当時の人々は「デメテル様、子離れして下さいよ」と思ったかも知れませんね。

ハデスの恋愛はこの1件しか無いようです。

恋愛に関しては奥手だったのか、ゼウスポセイドン、英雄ヘラクレスやアキレウスなどのような華麗な恋愛遍歴とは無縁だったようです。

漫画 『アリオン』

ハデス(アリオン)安彦良和氏の漫画『アリオン』でハデスは重要な役割をしていました。

この作品中のハデスは、にんまりと気味の悪い笑みを浮かべ、悪知恵の働く小汚い男といういでたちで、自らの不遇を恨むハデスの悲しさのようなものも感じたのを覚えています。

そして、ハデスといえばやはりペルセポネの逸話ですが、劇場版アニメで主人公アリオンを連れ去る姿は、まさにペルセポネを連れ去るハデスそのものでしたね。

 

秩序を乱すアスクレピオス ~死に対してストイックなハデス~

今まで紹介したゼウスや、ヘラポセイドンなどは神なのに怒り、愛し、憎み、喜びといった感情をあからさまにする「人間くさい」神でした。

しかし、ハデスは全然違います。

驚くほどストイックで、自らの責務に真摯に向き合い、使命を果たそうとしているように見えます。

ちょうど一昔前の日本人のような「バカ正直」さを感じてしまうのです。

ただし、職務に対するまじめさが時には恐ろしい報復となることもあります。

自分の職掌である《死》の分野に立ち入られることは非常に嫌っていたようで、ゼウスの章で紹介した名医アスクレピオスが、死者を蘇らせる技術を生み出したとき、冥界に来た魂が現世に戻っていくことは「冥界の秩序を乱す」として怒り、ゼウスに抗議しました。

その結果、ゼウスの雷霆ケラウノスによりアスクレピオスは殺されてしまったのです。

アスクレピオスはアポロンの息子で、ゼウスにとっては孫でしたが、兄の言い分を認めたということでしょう。

 

オルフェウス と エウリュディケ

オルフェウス と エウリュディケとは言っても、冷淡な冥界の王ハデスも時には情に流されることもありました。

これも有名な逸話ですが、竪琴の名手オルフェウスの話です。

サソリに噛まれ亡くなってしまった妻エウリュディケを呼び戻すために、オルフェウスは冥界を訪れました。

始めは「死人の魂を戻すことはできない」と拒絶していたハデスも、彼の奏でる竪琴と妻への想いに思わず感涙してしまい、条件付きで掟を破ってエウリュディケが現世へ戻るのを許したそうです。

これについては、ペルセポネの口添えもあったとか。

オルフェウスの物語は「振り向くな」という約束を破ったため、エウリュディケを再度失い、現世では亡き妻を思い呆けたようになっている彼を女性達が襲撃し、ズタズタに引き裂いて殺してしまった…

という悲劇に終わりましたが、頑なに思われるハデスにもこんな柔らかい一面を持っていることはおわかりいただけるかと思います。

余談ですが、オルフェウスとエウリュディケのエピソードは日本神話の《イザナギイザナミ》エピソードに通じるものがありますね。

ハデスの熱いエピソードとしては、自分を祀っている唯一場所=エリス地方がヘラクレスに侵略されたと知ると、反撃のために立ち上がったということもあります。

熱血激情家のヘラクレスと冷淡無感動のハデス。

甥と伯父の戦いはよくあることとは言え、どんな戦いになったのか、興味のあるところですね。

 

ポリュデグモン ~全てを受け入れる者~

ハデスには【ポリュデグモン】という異名もあります。

「全てを受け入れる者」「多くの客を迎える者」などという意味だそうです。

確かに、死は全ての人間に訪れるものですから、全てを受け入れ、多くの客(死者)を自分の世界に迎え入れる神にはふわさしい名前ですね。

人間は古代から死を恐れ、忌避しながらも、いずれは行き着く運命として受け入れなければならないと考えていました。

行き着く先を治めるハデスは、正当な裁きを下し、どんな人間でも冥界の住民として受け入れてくれました。

個々人それぞれの人生には苦難あり、幸せあり、理不尽な思いに泣いたり、順風満帆な人生に大笑いしたり、様々あったことでしょう。

しかし、最期の最期にハデスのように誰にでも平等な王がいると考えると、冥界行きも時には救いに思われたのかも知れないと感じるのです。

 

ハデス~体が透明になるハデスの兜を持つ冥界の王~ まとめ

ハデスはギリシャ神話では本当に影が薄く、有名なエピソードも「いたいけな少女を拉致監禁して妻にした」というあまり芳しくないものです。

ギリシャ神話の神々の中での人気も多分下位の方でしょう。

しかし、そんな目立たない神でありながら、自分の職務を忠実に果たすハデス-真面目で世渡り下手な彼にもう少し目をかけてもらいたいとファンになった筆者は思うのでした。