「ギリシア神話の神」と聞いて、八頭身、肉体美を備えた青年の彫像を連想する方も多いでしょう。

それはほとんどの場合、この記事の主人公アポロンです。

今回は、美青年でモテモテのはずのアポロンについて紹介します。

別名でアポロとも言われますが、チョコ菓子のモデルは彼ではなく、形からおわかりのように、月面に降り立った宇宙船アポロにちなんでいるそうですよ。

 

古代ギリシア人の理想

アポロ神化(モンスト)アポロンは光明、医術、予言、音楽を司る男神で、オリンポス12神の一人です。

父はオリンポスの王ゼウス、母はティターン族の女神レト。

狩猟を司る月の女神アルテミスとは双子の姉弟です。

黄金の弓矢や竪琴などを持ち、妙なる調べで多くの女性をとりこにしたというエピソードも。

不死の神故の永遠の若さと美しさを備え、勇猛でもあり、恋愛にも積極的、最も理想に近い神としてあがめられていました。

自身もハンサムとして名高かったローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスは守護神として彼を選んだそうです。

 

黄金の弓矢

姉アルテミスの銀の矢に対して、アポロンは武器として黄金の矢を持っていました。

その矢を放ち、人間に懲罰や疫病をもたらすという恐ろしい武器でした。

 

鴉座

日本では春の南の夜空に見えるからす座。

アポロンと関係があります。

当時からすは真っ白だったそうです。

そして頭の良いからすは人の言葉を理解できました。

アポロンの使者と言われていたそうです。

ところが、からすはアポロンの恋人であるコロニスが別の男とデートしているという間違った情報を伝えたのです。

からすの注進を信じ嫉妬したアポロンは、言われた密会現場にいる人影に向かって矢を射たのですが、そこで倒れていたのはコロニスでした。

からすに間違ったことを教えられたせいで、恋人を手にかけてしまったアポロンは、罰としてからすを真っ黒に染め、言葉を奪い、天上に追放し、星座にしたということです。

ちなみにこの時、コロニスは身ごもっていたそうです。

子どもだけは助かりました。

後に名医と呼ばれるアスクレピオスがその子どもです。

 

太陽

アポロンは太陽神とも呼ばれます。

それは彼の異名が《ポイポス=輝ける者》からも想像できますね。

また双子の姉アルテミスが月の女神なので、対照として太陽神と呼ばれたのではないかとも思われます。

 

黄金の弓矢はアメとムチ

アポロン(ペルソナ)《遠矢射る》との形容詞が付くアポロンは、医術や予言、音楽までも職掌に含む美青年の神です。

また家畜の守護神でもあり、ヘルメスとも関係してきますが、50頭もの牛を育てていたそうです。

アポロンが持つ黄金の弓矢は、人間に懲罰と疫病をもたらすものでした。

しかし、アポロンは同時にそれを治すこともできたと言います。

病に倒れた者達は、回復を期待してアポロンの生誕地と言われるデロス島を訪れるのが習わしだったそうです。

前述のコロニスの子が名医と呼ばれるのも、アポロンが医術に関係した神だからなのかも知れません。

病にしておきながら、治してもあげる…

アメとムチを使い分けてたのかと思ってしまいます。

 

《最も古代ギリシアらしい神》 の意外な顔

医術や哲学、言わば人間の無知の闇を打ち破るように文明の光を降り注ぐアポロンは、若々しい青年の美しい姿を持ち、古代ギリシアの理想像そのものだと言われています。

しかし、意外なことに《最も古代ギリシアらしい神》はギリシア土着の神ではなかったのです。

と言うのは、「アポロン」という名前は、古代ギリシア語ではありえない音の並びなので、北方もしくは東方から渡来した外来の神と考えられているのです。

また、あのトロイア戦争ではギリシアの敵国であるトロイア側(アジア)に味方しているので、アポロンは外来の神であったことが推測できるのです。

ゲームやアニメなどでは太陽神として扱われることが多いのですが、アポロンが司るのは概念的な「光明」です。

紀元前4世紀以降には《ポイポス=輝ける者》アポロンという別名からの連想でしょう、太陽神ヘリオスと混同され、やがて同一視されるようになったと言います。

古代ギリシアの理想を一身に集めるアポロンですが、意外にも悲恋が多いのです。

スマートに接近できない、ゼウスのように大胆にもならない、美形だからこそ、自分が望む者に対して不器用なのかな、と思ってしまいます。

そんなアポロンの恋愛遍歴と言うと、前述のコロニスの悲劇をはじめ、アポロンの求愛を徹底的に拒んで月桂樹に身を変えてしまったダブネ。

アポロンから予言の力と引き換えに愛を求められながらも拒んだため、祖国トロイア落城の予言を誰にも信じてもらえなかったカッサンドラ王女。

彼女はトロイア落城後、敵の捕虜となり無残な死を遂げますが、自分の死がわかっていたのです。

恐ろしく哀しい運命だったと思わずにはいられません。

また、想いが通じた美青年ヒュアキントスは、アポロンが投げた円盤が彼に当たり、またまた自分の手で殺してしまうという不幸に終わっています。

アポロンは青年たちの模範としての存在ではありましたが、自分の思い通りにならない愛や憎しみを抱えたことで、より人間に近い存在でもあるという両面を合わせ持った神であると言えるのではないでしょうか。

 

アポ口ン(ポイボス)~竪琴を奏で、黄金の弓矢を射る理想の太陽神~ まとめ

安彦良和原作のアニメ映画『アリオン』このアニメについてはガイアの章始めさまざまな記事で引き合いに出してきました。

アポロンは、ポセイドンとの戦いに奔走するアテナ、アレスを尻目に優雅に竪琴をかき鳴らす一見ふぬけですが、内心は冷酷で野心家の美青年です。

打算もあったのでしょうが、ポセイドンとデメテルの娘であるレスフィーナを求め、拒絶されました。

愛を求めたが得られなかったという点ではギリシア神話本来のアポロンに共通しています。

そう考えると同情票も多くなるようですが、私などはカッサンドラの悲劇はアポロンの復讐だったのではないかと思うのです。

自分を袖にした女への残酷な仕返し…

と考えると神とは言え、アポロンって度量の小さい男と思いませんか?